第13話 再会

 気まずい昼食になった。


 丸眼鏡の女の子が、おにぎりをかじりながらじっと俺をにらんでいるのだ。


「お、おい、青虎、おまえが助けた女の子って、まさかこの子か?」


「知っていて連れて来たんじゃないのか?」


 たずねると、レイジは「あちゃー」と頭を抱えた。しらじらしい。


 丸眼鏡の女の子は、おにぎりを食べ終えたころに話を切り出した。


「昨日は、ありがとうございました。助かりました」


「よかったよ」


「ココロちゃんも、今は頭を冷やして、自分が軽率だったと、言っています」


 だろうと思う。血の気を抜いたからな、さぞ頭が冷えたことだろう。


「でも! やりすぎです! み、みんなの首を、首を……く、首を斬って! 謝らせるなんて、わたし、怖かったです!」


「…………」


「あ、あの、何とか言ってください……」


「名前を知らないから」


 俺はコミュニケーションの第一歩は自己紹介だと思っている。

 すまなかったと謝るべきなのかもしれないが、俺もいきなり非難されて困っている。


「俺はキミの名前を知らないから、なんと言い返していいのか、わからないんだ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る