第4話 フィリオーネ129才


 家からソフィアお母様に抱っこされて10分ほどの所に、ダンジョン探索者協会はあった。

「街を見ても思ったんですが、すごく背の高い人がちらほらいますね」街で見た一番背の高い人で2メートル50センチ、ダンジョン探索者協会のドアの高さが3メートルある。

 中に入ってカウンターに行くと「今日はどういったご用でしょうか」とお母様とおない年、20才ぐらいの受付嬢さんがにっこりしながら言った。

「この子とそっちの妖精のダンジョン探索許可証を作りに来たんですが」とお母様もにっこりしながら言う。

「この子とはどの子でしょう?」と受付嬢さんが、お母様に抱っこされている僕の事が目に入っていないように言った。

「この赤ちゃんです」とソフィアお母様がまたにっこりしながら言った。

 受付嬢さんは責めるような眼で見ながら「赤ちゃんをダンジョンに捨てに行くんですか!」と声を荒げる。

「違います。この赤ちゃんが修業のために、ダンジョンでゴブリンを狩るんです」とソフィアお母様がまたにっこりしながら言った。

「上の者を呼んでまいります!」受付嬢さんが奥の扉に向かう。


 すぐに受付嬢さんが、ひげ面で筋肉むきむきの30才ぐらいの大男(身長2メートルぐらい)を連れて戻ってきた「お前たちが、赤ちゃんをダンジョンに捨てに行こうとしてる奴らか!」

「違います! この赤ちゃんが修業のために、ダンジョンでゴブリンどもを狩るんです」とお母様が、ちょっとキレ始めているのかニヤリとしながら言う。

「奥さん子供に英才教育したいのは分かりますが、もっと子供が大きくなって魔力の層を2層まとえるようになってから来てください」とひげ面で筋肉むきむきの30才ぐらいの大男(身長2メートルぐらい)がさとすようにお母様に言う。

「この子は魔力の層を3層まとえますし、魔力の層を3層しかまとっていないとは思えないほど速く動けるんです!」とソフィアお母様が力説した。

「奥さん、赤ちゃんは魔力の層を3層もまとえませんし早くも動けません」とひげ面で筋肉むきむきの30才ぐらいの大男(身長2メートルぐらい)が我慢強く言った。

「うちの子は出来るんです!ほら!」とソフィアお母様が僕をカウンターの上に乗せる。

「な! この大きさの赤ちゃんが一人で立つだと……」とひげ面で筋肉むきむきの30才ぐらいの大男(身長2メートルぐらい)が驚愕した。

「ほら! 魔力の層をまとって!」とソフィアお母様が僕の背中を押しながらかす。

「あまり気が進まないんですけど、まあ……は!」魔力の層を4層まとう、ぼく。

「あれ? 魔力の層4層まとってる?」僕が驚くとフィリオーネが「さっきの試合のときから出来てたよ?」と言った。

「さっきのスピードはそんなもんじゃなかったわ、もっと魔力の層まとえるの?」とソフィアお母様が聞いてくる。

「あれは●速カン●ルと言って電気で肉体を操作して潜在能力を超えるスピードを出す技です、向こうの世界の漫画で読みました!」

「赤ちゃんが魔力の層を4層まとってしゃべるだと、まあいいでしょうこの申請書を書いてもらいましょうか」とひげ面で筋肉むきむきの30才ぐらいの大男(身長2メートルぐらい)が僕の前に申請書とペンを置く。

 えっと氏名は「あの、ぼくのファミリーネームってなんですか?」

「神の血を引いていない一般人にはファミリーネームはないわよ」とソフィアお母様。

「そうですか」氏名アルヴィン、生年月日「生年月日は」

「ケサランパサラン魔法王国歴220年春の始まりの日」とルークお父様。

「生まれたの昨日ですか?」と受付嬢さんがおどろいて聞いてきた。

「はい、そうですよ」受け答えをしながら、申請書を書く作業に戻る。

 年齢0才、身長50センチぐらい、体重3キロぐらい、ダンジョン探索許可証がいる理由……修業のため?

「15才以下の方は保護者の許可が必要です」と受付嬢さんが申請書を見ながら言った。

 申請書の前からどくと、お父様お母様の順番で書き込む。

「ちょっと見せてもらえますか?」

 ケサランパサラン魔法王国軍暁騎士団所属ルーク少佐・ケサランパサラン魔法王国軍近衛騎士団所属ソフィア中佐。

「お母様の方が偉いんですね」

「回復魔法が使えるからね」とソフィアお母様が何でもない事のように言う。

「最後に魔力の登録です」と受付嬢さんが銀色の金属で出来た下敷きみたいなものを取り出し、中に申請書をはさみながら、ぼくの前に出す。

「手のひらのマークに手のひらを押しあてながら、100マナ送り込んでください」

「100マナ送り込むとは、なんでしょう?」受付嬢さんが言った謎の概念に対して質問する。

「マナはお金としても使えるの。契約の神の契約でお互いに納得した契約でないと、契約できないけどね」とソフィアお母様。

「ダンジョン探索許可証の発行と魔力の登録に、100マナはらいますと言ってください」と受付嬢さん。

「ダンジョン探索許可証の発行と魔力の登録に、100マナはらいます」

 銀色の金属でできた下敷きみたいなものの手のひらのマークに手のひらを押しあてながら100マナ送り込むと「チャリンチャリン」と音がした後、銀色の金属でできたカードが浮かび上がってきた。

「このカードどこから出て来たんですか?」下敷きみたいなものとカードの厚さを比べたが、同じぐらいの厚さで収納する場所とかもなさそうだ。

「ダンジョンの神様の所から送られてくるんですよ」と受付嬢さんが何でもない事のように言う。

「そんな事より書いた覚えのない事で書いてある事はないか?」とルークお父様がカードをのぞきこんでくる。

「創造神の加護、転生神の加護、人間の加護、フェアリーの加護……フィリオーネこの加護って言うのなんだけど……フィリオーネ?」フィリオーネの姿を探すと隣のカウンターから、銀色のカードを持ったフィリオーネが飛んでくる「なあに~~?」

「このフェアリーの加護って言うのなんだけど、何か心当たりある?」

「あたしのカードにも書いてあるよ?」

「ちょっと見せてくれる?」フィリオーネのカードをのぞきこむ。

「創造神の加護、フェアリーの加護……フィリオーネ129才なんだ……この創造神の加護って言うのはみんなが持ってるものなんだね!」

「「「いやいや」」」「そんなの持ってる人、見た事ないよ!」と受付嬢さんが顔を近づけながら言ってきた。

「そう……」ぼくは視線をそむけた。

「……フィリオーネのカードぼくがもとうか?」

「え? なんで?」

「身体のサイズ的に持って生活するの難しいだろ?」

「こうすればいいじゃん」フィリオーネの身体が光ると、フィリオーネの持っていたカードが消える。

「え? それ、どうやるの」

「自分の魔力の中に空間を作って、その中に入れるの」とフィリオーネが一度カードを出し、もう一度しまいながら言う。

「自分のカードを収納する機能があるので、そちらを使いながら空間魔法の練習をしてください。自分のカードなら、収納したいと思えば収納できますし出したいと思えば出せますので。あとダンジョンなどでは通常丸1日動かなかったものはダンジョンに吸収されるのですが何らかの神の加護を受けた身分証は吸収されないので、持って帰ってきてください、報奨金が出ますので」と受付嬢さんがカードの説明をしてくれる。

 カードの収納機能を試すと気付く事があった。

「カードの収納機能使っても身体光らないけど、フィリオーネはなんで光ったの?」

「ただのくせよ」

「イチゴのパックぼくのベッドに隠した時も光ってたの?」

「そうよ、掛け布団かぶってイチゴのパックだしたの」

「ふ~ん、そうなんだ」

「身分証持ちかえってくださいね? 身分証1枚につき迷宮金貨1枚(約10万円)ぐらいは出ますので」話が終わったタイミングで受付嬢さんが身分証の事を補足してきた。

「持ちかえってくるだけで金貨1枚? 100マナっていくら?」

「その人がどれだけマナを重要視するかにもよりますが、迷宮金貨2枚(約20万円)ぐらいですね。でも神の契約では、マナ払いだけですけど」と受付嬢さんが説明してくれる。

「神の契約だから値段が高いのか……いやむしろ安い?」カウンターの上に立って考え込んでいると、お母様に抱っこされた。「ありがとうございました」とソフィアお母様がカウンターにお礼を言うと。

「ちょっと待ちな、これからダンジョンに行くなら俺も同行させてもらおうか」とひげ面で筋肉むきむきの30才ぐらいの大男(身長2メートルぐらい)がカウンターから出てきて言った。

「そうですか、所でお名前は」とルークお父様がひげ面で筋肉むきむきの30才ぐらいの大男(身長2メートルぐらい)に名前を聞いた。

「ケサランパサラン魔法王国ダンジョン探索者協会受付係係長ウィリアムだ」とひげ面で筋肉むきむきの30才ぐらいの大男(身長2メートルぐらい)、ウィリアムさんがヘルメットをかぶりながら言った。

「ルークですよろしくお願いします」

「さっき申請書を見てらっしゃったから、知ってると思いますよ」とソフィアお母様がぼくを抱っこしながら言う。

「それもそうだな」とルークお父様があいづちを打つ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る