第4話 夜は楽しみにしててね
あの後、レオナルドの屋敷を護衛する他の奴隷たちに感謝され、レオナルドの屋敷に俺とルビアだけが残った。
その際、レオナルドが消えたことが広まってしまうと、戦争に発展するらしいので、護衛してた人たちに、レオナルドが死んだことは黙ってもらう。
「改めて聞くが、この屋敷に俺と残るということでいいんだな?」
「えぇ、どうせ行くところもないから」
「わかった。じゃあ、まずはこの屋敷を探索するか。と、その前に…」
俺は着ている上着を脱いで、ルビアに着せる。
「こ、これなら破けた服も少しは隠せるだろ」
(正直、目のやり場に困ってたんだよ。なぜか、胸元が重点的に破けてたし)
「あ、ありがとう。優しいのね」
「こ、これくらいは当然のことだよ」
そんな会話をして、屋敷の探索を行う。
その道中で、俺がここに来た理由を説明する。
屋敷が広すぎて、全てを探索するのにかなりの時間を要したが、おかげで、俺がここに来た理由を説明することができた。
「つまり、神様がレオナルドを消したが、その結果、戦争に発展してしまったため、別の世界から転生したレオくんがレオナルドとして生きることになったのね」
「あぁ、そう言うことだ」
「だから、この世界のことはほとんど知らないから、正直、ルビアがいてくれて助かった」
「そ、そう。それならよかったわ。ホントは困ってるのかと思ってたから……」
少し照れながらホッとした表情でルビアは言う。
「そ、そんなことないぞ!ただ、俺のところにいても楽しくないと思ったから反対しただけであって……」
「それなら問題ないわ。私、レオくんといると楽しいもの」
「えっ!」
「あら、何を驚いてるのかしら?最初は楽しそうだからと思ってここに残ることにしたけど、今は楽しいわ」
「そ、そうか……それならよかった」
素直にそう言われ、照れてしまう。
「それより、私のことを聞かなくていいの?」
「ん?なんでだ?」
「だって、これから一緒に過ごすことになるのよ?どんな人か知ってた方がいいと思うけど」
「あぁ、確かに、なぜ、ここに閉じ込められることになったとか、いろいろ聞きたいことはある。もしかしたら、悪いことをしてここに閉じ込められたのかもしれない」
「だったら……」
「でも、俺は、ルビアが悪い人に見えなかった。きっと、ここに閉じ込められるまでに辛いことがあったと思うんだ。だから、話したくなった時に話してくれればいいよ」
「っ!」
ルビアは俺の言葉を聞き、驚いた後…
「そう、やっぱりレオくんは優しいわ」
そう言って微笑むルビアに見惚れてしまう俺であった。
屋敷全ての探索が終了する。
「おいおい、レオナルドの奴、どんだけ稼いでたんだよ……」
「えぇ、これくらいあれば遊んで暮らせるわね……」
それくらいお金が出てきた。
「悪事を働きまくってたとは聞いていたが……どんだけ悪いことしてきたんだよ」
「証拠となるようなものもいくつか出てきたわ」
確認すると、集落を襲うように指示した手紙や、貴族からの違法な金銭の流れ等々、悪事がボロボロと出てきた。
(多分、今までバレたら金でなんとかしてたんだろうな)
「とりあえず、俺はレオナルドとして生活しなきゃならないから、この屋敷に残る。ルビアもどこか好きな部屋を使ってくれ」
「わかったわ」
「じゃあ、お金もゲットできたから、まずは街に出て、ルビアがこの屋敷で快適に過ごせるよう買い出しに行こうか」
俺がルビアに向けて言うと、なぜかルビアはポカンとした顔となる。
「え?私はここに居候する身なのよ?そんな気遣いいらないわ」
「なに言ってるんだ?せっかく一緒に過ごすことになったんだ。遠慮することはない。俺が手に入れたわけではないが、金はあるからな」
「そのお金は今ではレオくんのものよ。だから、私に使うのではなくて、自分のために使うといいわ」
「そうか。なら、俺はルビアのためにお金を使いたいと思った。それならいいだろ?」
俺の言葉を聞いたルビアは…
「ふふっ、ホント変わった人ね」
笑いながら言う。
「レオくんがそこまで言うならお言葉に甘えようかしら」
「あぁ、遠慮なんかする必要はない」
「ありがとう、レオくん。それで、私には今、返せるものがないの。だから……」
そこまで言うと、妖艶な笑みを浮かべて……
「夜は楽しみにしててね」
そう言って、部屋から出て行くルビア。
「…………………」
(えっ!これってエッチなことのお誘い!?いやいや!そんな意味で言ったわけじゃないはず!)
そう思っても、エッチなお誘いとしか思いつかない20歳童貞だった。
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