第84話 秘伝のマッサージ
ナツキとイチャイチャしたくてデノア王国首都バーリントンから帝国領カリンダノールへと同行していた七大将軍の姉たちだが、遂に皇帝アンナの堪忍袋の緒が切れたのか、帝都への帰還命令が出てしまう。
さすがに皇帝の命令となれば、これまでのように無視するわけにもいかない。ナツキのことが大好きで永遠に密着していたい
そして、隙あればナツキを捕まえて帰還前のイチャコラをしたい乙女たちなのだ。
そう、ここに一人。他の女の目を盗んでナツキを連れ込んだ悪いお姉さんがいた。
「はぁん、なっくん♡ どうですか? 気持ち良いかしらぁ?」
今どんな状況かというと、ナツキ自身も恥ずかしくて説明できないような展開である。何故かクレアに裸にされてしまい、全身アロママッサージを受けているところだ。
「あ、あの、クレアちゃん。これ、裸にならないとダメなんですか?」
「ダメですわ。アロマオイルが服についてしまいますから。これは我がライトニング家に伝わる秘伝の男を堕とす……こ、コホンっ、疲れを癒すアロマオイルですわよ」
明らかに怪しいクレアだ。誤魔化してはいるが、実際は男を興奮させる秘伝のアロマと、的確に性欲増進のツボを押すテクニックである。
悪いお姉さんクレアが本気を出してしまった。
にゅるっ、にゅるっ――
「くああっ、ちょ、クレアちゃん……」
「ほらぁ、なっくん♡ 腕を上げて。マッサージしますわ」
さすがに裸はナツキが拒否して、ギリギリ湯浴み着で妥協させたのだ。今のナツキはペラペラの湯浴み着一枚を巻いているだけである。
まさに紙装甲。防御力は最低レベルだ。
そして、当然のようにクレアも裸になるのだが、それもナツキが必死の説得で湯浴み着にさせた経緯がある。
ナツキにとってクレアは裸族という認識だ。それは帝都での戦闘でクレアが全裸でハッスルしまくったのが原因なのだが。
クレアの全てを見てしまったナツキにとっては、今も目に焼き付いている彼女の綺麗な裸体を思い出してしまい、胸がドキドキバクバクとおかしくなってしまいそうだった。
「ああぁ、クレアちゃん、見えちゃうから」
「大丈夫ですわ♡ 湯浴み着ですから」
女性用湯浴み着といっても、ただの布をサイドに付いた紐で縛っただけのペラペラである。油断したら大事なところが見えてしまいそうな頼りなさだ。
しかも、ナツキはクレアの柔らかな体に抱っこされているのだからたまらない。
健全な男子が、クレアのように超魅惑的なムッチリ巨乳お姉さんに包まれているなど、もう絶対我慢できない状況なのである。
「くううっ、この帝国文化はキツ過ぎます……」
これも帝国文化と信じ切っているナツキが声を上げる。ペラペラの湯浴み着一枚で密着され、そのうえに全身オイルマッサージされているのだから。こんなの我慢できるはずがない。
にゅるっ、にゅるっ、にゅるっ、にゅるっ――
「はああぁ……クレアちゃん」
「なっくぅ~ん♡ 良いですのよ。声を出しても♡」
体にポタポタとオイルを垂らされ、クレアの白く綺麗な指で隅々までマッサージされる。
腕を滑っていたクレアの指が、腋から脇腹へと入る。余りの快感に、ついナツキが声を出してしまった。
「も、もう良いですから。もうこれくらいで」
「はぁん♡ ダメですわぁ♡ まだまだ序の口ですわよ」
「くうぅ、キツぃ。ボク……ダメになっちゃいます」
「ダメになって良いんですわよ♡ たまにはリラックスしてくださいまし♡」
天使のように優しく甘く良く通るクレアの声で
「くぅ……気持良いです」
「良いですのよ♡ 良いですのよ♡ 全てわたくしに身を任せて♡」
「もうっ……ムリぃ……」
「うふふっ♡ 良いですのよ♡ うふふふふっ♡」
クレアの手がナツキの腹を撫で回す。オイルで滑りが良くなった指で、優しくフェザータッチしたり少し強くクリクリと刺激したりと自由自在だ。
そして、徐々に手は下に移動して行く。
「うくぁああっ! もうダメですぅ!」
「ダメで良いんですわよぉぉぉぉ♡ はぁん♡」
「うあああぁ!」
「良いですのよ♡ 良いですのよ♡ 極上ですわぁ♡」
クレアの甘やかしとマッサージテクでナツキが限界突破しそうだ。
うああああっ! クレアちゃんの帝国文化がキツ過ぎる! もうボクは限界だぁ! 結婚するまでエッチは禁止なのに、もう間違いを起こしてしまいそう!
ダメなのに……ダメなのに……ああっ!
今まで我慢してきたけど……もう……ムリぃ。
ドォオオオオオオオオーン!
もう色々と放送禁止になりそうなところで勢いよくドアが開き、燃えるような真紅の髪の女が飛び込んできた。
そう、年下男子が大好物で、好き好き大好きナツキ少年のフレイア・ガーラントである。
「ナツキぃいいいいっ! 助けにきたわよ!」
助けにきたフレイアだが、一歩部屋に入って見たその光景にショックを受ける。
「い、い、いやぁああああああっ! 私のナツキ少年がぁああああっ!」
あられもない姿で絡み合う二人に、大ショックのフレイアが絶叫する。
「な、何やってんのよ! そそ、そんな、トロトロのベタベタでエチエチなヌルヌルのぉ!」
※疲れをとるアロママッサージです。健全です。
「ふ、フレイアお姉さん」
「ナツキ、こっちに来なさい!」
フレイアがナツキを引っ張り上げる。あと少し遅かったら完全に間違いが起きていそうだ。
「ちょっと、クレア! どういうことよっ!」
確保したナツキを抱きしめながらフレイアが問いただす。自分も同じようにナツキを狙っていたのは黙ったままで。
「どうって、マッサージですわ。慣れない仕事で疲れているなっくんを癒してあげていたのですわよ」
特に悪びれることもなく、クレアは本気でマッサージしていたかのように見える。
「ま、マッサージって、こんな格好で! くぅ、もう完全にイケナイコトみたいじゃない。クレアって前はもっと真面目だった気がするけど……」
「そうでしたかしら? 言われてみれば……前はエッチな同僚に振り回されていた気がしますわ。でも、いつの頃からか……。そ、そうですわ! なっくんにエッチ奴隷にされて、あなたたちに
「うっ……」
それを聞いてフレイアが言いよどむ。クレアをエッチにしたのは自分たちだった。
普段は常識人で大将軍のリーダー的存在だった。その実、人一倍エッチなクレアは、強い倫理観や羞恥心で無理やり性欲を抑え込んでいたようである。
しかし、ナツキたちに調教されたり羞恥プレイされ、もう何かが振り切ってしまったのかもしれない。
倫理観や羞恥心の強い女ほど、乱れると凄いのである。
「はぁあぁん♡ あれ以来、わたくしの身に狂おしい程の衝動が……。なっくんをたくさん甘やかしたいのですわ♡」
もう完全にナツキの虜である。
しかも、裸で大立ち回りして帝都中の男性にオカズを提供してしまった罪な女だ。もう帝都の男性は全てクレア推しと言っても過言ではない。
クレアを責めるのに分が悪いと感じたフレイアは、話を逸らしてナツキに話しかける。
「そ、それにナツキもナツキでしょ! なんでクレアには甘いのよ。私には抵抗するのに」
「それが……クレアちゃんに甘やかされると、不思議と抵抗できなくなってしまい……」
ナツキが言うようにクレアの甘やかしは恐ろしいのだ。
まるで手に吸い付くように滑らかでしっとりしたクレアの肌。一度触れたら永遠に触っていたい感触なのだ。それを全身で抱きしめられたり膝枕などされたら、その極上の心地良さで蕩けてしまうだろう。
しかも天使のように甘く良く通る声で囁くのだから、その相乗効果は凄まじいものがある。
「くっ、クレアって意外と強敵かも。要注意ね!」
人を要注意認定しているフレイアだが、自分もさっきからナツキの体をナデナデしている。
ナツキとしては、クレアの蕩けるマッサージから逃げたが、今度はフレイアのドスケベナデナデに捕まったようなものだ。
「あの、フレイアさん……くすぐったいです」
「あんっ♡ ナツキ少年の背中スベスベぇ♡」
「ダメです。もうっ、助けにきたんじゃないんですか?」
「よ、良いではないか、良いではないかぁ♡」
そしてクレアが余計なことを言う。
「フレイアさん、一緒になっくんを癒してさしあげましょう」
「ちょ、えっ、あの、さ、3
「違いますわ。外国では彼氏の疲れを癒すのは彼女の務めですわよ」
「そ、そうよね! 疲れを癒すだけよね!」
変なところで意気投合してしまうエロ姉たち。外国にそんな務めがあるかどうかは知らない。
「なっくぅ~ん♡」
「ナツキぃぃ~っ♡」
姉の攻撃力が二倍になった。
「うわああああああーっ! 何でこうなるのぉおおっ――――」
ナツキ貞操の危機かと思われたが、結局お仕置きをくらって姉が陥落の危機である。
今、二人の大人っぽい魅力的な女が、尻を高く上げさせられるワンワンスタイルで、ムッチリしたケツを少年にペンペン叩かれるという屈辱的な躾をされていた。。
ペンペンペンペンペン――
ペンペンペンペンペン――
「あひぃ♡ もう許してぇ♡ 悪いことしないからぁ♡」
「あふぁ♡ なっくぅ~ん♡ 恥ずかしいですわぁ♡」
「反省しましたか? 結婚を前提に付き合うまでエッチは禁止ですよ」
二人の大きなケツにナツキの手がヒットする。ちょっぴり姉喰いスキルが注入されていて鬼畜レベルなペンペンだ。特にクレアは湯浴み着なので危険過ぎる。
ペンペンペンペンペン――
ペンペンペンペンペン――
「いくらお仕置きしてもエッチなことばかりするんですから。もう皆の見ている前で躾けた方が良いのかな?」
ナチュラルに羞恥プレイしようとする無邪気故の鬼畜さ。この、
ナツキは気付いていない。そのお仕置きの一発一発が、余計に姉たちを堕としてしまうのだと。
◆ ◇ ◆
翌日、ナツキの彼女候補である
誰もが別れを惜しんで、中には泣き出してしまう姉もいるくらいだった。すぐに自分も帝都に戻るからと、ナツキに言い聞かせられ、やっとの思いで出発する。
しかしナツキは気付いていない。一緒に城に残った二人の女の目つきが妖しいことに。
やっと邪魔者がいなくなったと舌なめずりするマリーと、チラチラと主人を見つめ複雑な顔をするグロリア。
もう一波乱起きそうな雲行きだ。
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