第111話 スタンピード参戦
俺はその
「保育所って言ったってアイツラと姫さん、そう歳は変わらねえぞ?」
取り巻きだろうか? 近くのテーブルに座って居たやつがその少女に言う。
「むむ。たしかにそうか。しかし女だらけのパーティとはな。しかも男が子供を抱えているではないか」
おっと、今度は俺が標的のようだ。
よく見れば見るほど似ている。
髪の色は鮮やかなピンク色をしていて目の色もオレンジ色だが、大きな目に蕾のような唇、よく通った鼻筋と瓜二つだ。
「……」
びっくりしてじっと見つめてしまう俺を、ミーシャ達は無言で見つめていた。
「フフン。女子供の事はどうでもいいか。今はスタンピードだ。受付嬢! どうなっている!?」
その少女は俺たち越しに受付に尋ねた。
「はい、姫様。ただいま小康状態といえますね。散発的にモンスターの群れがやって来ています」
「むむ。早いところスタンピードを収束させてダンジョンへと行きたいものだ。今は入れないからな」
なんだって!? 今はダンジョンへは入れないのか。
せっかく遠路はるばる来たのにダンジョンに入れないとは……
姫と呼ばれる少女は用事が済んだのか踵を返す。
その時俺たちの方をちらりと見てフンと鼻で笑って行った。
「なんかダンジョンには入れないらしいぞ」
「うむ。そのようだ」
「マスター。由々しき問題です」
「なんじゃなんじゃ。せっかくここまで来たのにお預けなのじゃ」
「あなた様、これはスタンピードを解決する方が早いのかもしれませんね」
「ウォフ」
「はいぃ、そうかもですぅ」
「です?」
「よくわからないんだぜ!」
うーむ。とりあえず受付で話を聞いてからでも遅くはないか。
俺たちはそのまま受付に並ぶ。
列が進み、受付と応対する。
話によると、ダンジョンに入れないのはその通りで、現在は封鎖処置を行っているということだった。
冒険者たちはスタンピードを収束させるべく、前線に投入されているとのこと。
こりゃあ本格的にスタンピードの事を考えないといかんかもな。
俺たちは受付にオススメの宿屋を聞いて冒険者ギルドを後にする。
紹介された通りの道を歩き、宿屋へとたどり着く。
看板には“飛龍の集い”と書かれていた。
宿にチェックインし、荷物を下ろした俺たちはロビーに集まる。
ヴェルとアウラは霧夢の腕輪から出した籠の中に置いてきた。
「さて、俺たちはどうしようか?」
「うむ。スタンピード戦に参加するか?」
「マスター、それが良いと思います」
「あまりゴチャゴチャしてるのは好かんのじゃ。スパッと決めるのじゃ」
「あなた様、どちらにしても私はついて行きます」
「ウォフッ」
「マロンもぉ、ついていきますぅ」
「ですです」
「スタンピードってやつも初めてだな!」
「……そうか。俺はスタンピード戦に参加しようと思う。」
「うむ。良いのではないか?」
「マスターの力が有ればすぐに片付きますね」
「うむうむ。それでこそコウヘイなのじゃ」
「すぐにでも戦支度をせねばなりませんね、あなた様」
「ウォフ!」
「モンスタぁ狩りですぅ」
「ですです!」
「腕が鳴るんだぜ!」
という事でスタンピードに参加する事になった俺たちは半ば祭りに参加する気分で準備をした。
冒険者ギルドに取って返し、受付でスタンピード参加の旨を告げる。
「はい、受理しました。各等級ごとに分かれてもらいますが大丈夫ですか?」
む。そうなのか。それは知らんかったな。
「うむ。問題ないぞ」
ミーシャが受付に返事をする。
「マロンたちはぁ最近鉄級にぃなりましたぁ」
「ですです」
「やっとあがったんだぜ!」
「なんだって!? 俺たちに言ってくれよ。お祝いせにゃならんだろう?」
「お祝いぃですかぁ」
「です?」
「お、宴会なら嬉しいんだぜ!」
「ああ、俺もミーシャに祝ってもらったからな。今夜にでもやろうか」
「わぁ、嬉しいですぅ」
「ですです!」
「たくさん食うぜ!」
という事で俺と三人娘が鉄級で一緒か。
アルカとゼフィちゃんは登録したばかりで青銅級だ。ティファと一緒だな。
ミーシャが銀級で一人になっちまうな。仕方ないけど。
「それでは明日からの参加でよろしいですね?」
受付嬢が聞いてくる。
「はい、それでお願いします」
俺が答える。
「おいおい、誰かと思ったら坊主じゃねえか。あの時は悪かったな」
「お、ほんとだ。久しぶりだな」
どこかで見たことのあるおっさん二人に声を掛けられた。
「……えっと?」
俺が思い出せないでいると、
「オレだよオレ。ナッシュだ」
「ガイアだ。まさかオレたちを簀巻きにしたのを忘れた訳じゃあるまいな?」
ああ! 思い出した! 俺の鉄級冒険者のお祝いをメチャクチャにしてくれた二人だ。
「坊主たちもスタンピードで稼ぎに竜王国に来たのか。オレたちも頑張らないとな!」
「ああ、オレこの戦いが終わったら飲み屋のあの子に告白するんだ」
なんだかフラグっぽい事を言っているが大丈夫か? この人達。
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