第105話 また邪神絡み
大地の力を流して探査をすると、俺はダンジョンコアの言うラインの奥に何か違和感を覚えた。
―これか?
大地の力で手につかむようなイメージで握り込む。
ぐおっ。胃がせり上がってくるようだ。
俺は汗を流しながら手に掴んだイメージを保ったまま引っ張り上げる。
「…!…」
ダンジョンコアから何か驚きのような感情が流れてくる。
「っりゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
いつの間にかダンジョンコアの中へとめり込んでいた俺の腕を引き抜くと、手にはドス黒い石が握り込まれていた。
こいつぁアレじゃないか?
すぐさま鑑定を通す。
~~~~~
邪神の欠片
#$+*&@
~~~~~
やっぱりな!
「ティファ、どうやらまた邪神絡みのようだぞ?」
「マスター? それは……?」
「おう、邪神の欠片らしい。これがどこかの地脈に埋め込まれていたって訳だな」
「ありがとうございます。マスター。その黒くて汚らわしいモノを取って頂いて」
「まぁ、たまたまだけどな。それでコア、どうだ? 問題はないか?」
「是……問題ありません。ダンジョンもこのまま通常通りに稼働出来ます……」
そりゃ良かった。
俺は物の
邪神の欠片からポロポロと黒いものが落ちていき、周囲から中心に向けて透き通っていく。
黒いものが蒸発していくように宙に掻き消えると綺麗な赤い石が手元に残った。
これで大丈夫なはずなんだが……
おれは綺麗な赤い石を鑑定する。
~~~~~
混沌神の欠片
混沌神の体の一部
~~~~~
……大丈夫なようだ。
しかし石が赤い?
「マスター。……ダンジョンコアに触れてください。エネルギー補給を要求します……」
おっと? この食いしん坊さんめ。
とは言え、ここに来るのは久しぶりだからな。
多めに大地の力を流すことにする。
「これでいいか? もう問題はないよな?」
「解……いえ、マスター。地脈の情報から他のダンジョンコアの救援依頼です……」
「マスター。これは……竜王国にあるダンジョンですね。」
ティファの目に何かの文字列、ログラインの様なものがチチチと流れる。
竜王国か。
たしかスタンピード騒ぎがあるんだっけ?
「俺が行かないとダメなのか?」
「はい、マスター。向こうのコアルームに何か異常が出ている模様」
それじゃあ今度は竜王国に行きますか。
俺とティファは森の拠点に戻り、旅の準備を始める。
ついでにロキ神の像に混沌神の欠片を捧げておいた。
パンパンっとね。
ポワンっと光り、混沌神の欠片が消えてゆく。
もう戻ってくるなよー。
「あなた様、またどこかにお出かけするのですか?」
「なに? また旅に出るじゃと? ずるいのじゃ」
部屋に戻ろうとする俺にアルカとゼフィちゃんが話しかけてくる。
ゼフィちゃんはエルフの女王様な。
風呂上がりなのか二人共さっぱりとした顔をしている。
「うん。なんか今度は竜王国に行くみたいだ」
「あなた様、今度は私もついて行きます!」
「アルカちゃんずるいぞ! 妾も行きたいのじゃ!」
ゼフィちゃんがプク―っとむくれる。
「叔母上は執務があるでしょう?」
「それを言ったらアルカちゃんは巫女の仕事があるのじゃ!」
ぐぬぬ、と睨み合う二人。
「まぁ俺はどっちでもいいけどな。仕事に支障が出ないなら」
「よし! 話をつけてくるのじゃ!」
「あっ! 待って下さい、叔母上!」
アルカとゼフィちゃんは倉庫の地下へと消えていった。
転移石で神樹の森に行ったのだろう。
俺は気を取り直して部屋へと戻り、旅の準備を進めた。
その日の夕食の後、俺は皆に話す。
「……ということで竜王国に行くことになった」
「ふむ。ミーシャも行くぞ」
ミーシャは同行、と。
この辺の地理を知っているミーシャの同行は正直助かる。
「ボクは今回はここに残ります」
「あい」
おや? クーデリアは分からなくもないが、ノーナも残るのか。
「ノーナ、ちゃんとお留守番できるか?」
俺は疑問に思い聞く。
「あい! できまつ!」
子供の自主性を育てるには留守番させたほうが良いんだろうが少し不安だ。
「三人はどうする?」
「はいぃ。今回はぁ、ご一緒できればぁ」
「です?」
「たまには手伝うんだぜ!」
三人娘は同行か。
「じゃあクー。ノーナの面倒をよろしく頼むな」
「はい、コウヘイさん。ボクに任せてください」
「それと、もし長引いて次の月をまたぐようならクーにモンタナ商会との取引を頼みたいんだが」
「モンタナ商会ですか?」
「ああ、俺が作った反物を納品しているんだ」
「ああ、あれですか。大丈夫ですよ」
「一応、荷物持ちにツヴァイを残していくから何かあれば使ってくれ」
俺はクーデリアにモンタナ商会のトットさんの事など、詳細を説明した。
次の日、荷物を背負い、抱っこ紐を装備した俺が外に出てみると、
「待っていたのじゃ!」
「あなた様……すみません。説得したのですが……」
「ウォフ!」
……神獣に跨ったアルカとゼフィちゃんの姿があった。
アルカとゼフィちゃんは分かったが、神獣も来るのか?
俺は疑問符を頭に浮かべる。
すると神獣は二人を下ろすと体をブルリと震わせた。
みるみる内に縮んでいく神獣。
「ウォフ!」
そこには秋田犬サイズの神獣が居たのだった。
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