『煙は美味だ』――煙からの栄養摂取が義務付けられた国とそこで藻掻く少年
『けむりは私たちの心に養分を与えて、養ってくれます。さんそが無くては息が吸えないように、けむりが無くては私たちは生きていけないのです』
先生はぼく達に言う。煙が無いとぼく達は死んでしまう。地球の変化によって、必要な栄養を十分に摂れなくなってしまった人類は、工場から出てくる煙の中に栄養をつくることができるようになって、生きれているんだ、と。
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正体不明の工場から日々昇る煙。煙中心の生活や教育。そんな’’けむりの国’’に馴染めない純粋な少年のお話。
※読み切り短編です。