第12話

今日は朝一から出勤だ。

私は六時には起きていた。

洗濯物があるからである。


今日はタオル類だけを洗う日。

明日はシャツとパンツなど着衣を洗う日。

交互にするように決めていた。


タオルを干して、朝ごはんを作る。

冷凍庫を圧迫しつつあるパンを消費したい。

私は、食糧庫と化した引き出しを開く。


「あったあった、コンソメ!」

冷蔵庫に、半分残しておいたエノキとネギ。

追加で玉ねぎを薄切りして、コンソメスープの素を放り込んだ。

少し出汁しょうゆを足した、簡単なスープを作った。

さらに、昨日残った炒め物を温め、お茶を淹れる。

今日も安芸高田のえびす茶だ。

朝ごはんとしてはまあ上出来だろう。


今日の夕飯はどうしようかな?

そんなことを考えながら出勤する。


タイムカードを切った直後だ。

「あれ? あなた今日お昼からですよ」

事務の人に急に声をかけられる。

「えっ……?」

私はその言葉に耳を疑う。

「うん、午後から。どうしたの?」

「あの……、私が渡されているスケジュールには朝一って……」

「もしかして、聞いてない?」

「はい……」

「とりあえず、昼から出直してこれば良いから」

事務の人は笑って言う。

ここ、報連相できてないのか……。

私は呆れるやら、困惑するやら、複雑な気持ちである。


正直、報連相がしっかりしていないところで長期間働きつもりはない。

前職の工場でも、報連相ができておらず、そのことで揉めたから退職したというのも理由の一つである。


私はとりあえず寮の部屋に帰った。

「事前に教えてくれれば、もっとできることがあったのに!」

私は部屋の掃除をし、ヨーグルトやちょっとした物、衣料用洗剤の詰め替えを買いに出かけた。

さすがに、怒りはあるが言ったところで改善しないだろうな。

私はひそかにそう思った。


薬局があくまで少し時間がある。

私は、先にスーパーに立ち寄った。

そうして、いくつか食品を買う。


「今夜は、まあ家にある物で湯豆腐にして……。ヨーグルト、っと」

私は気にいっているヨーグルトをかごに入れる。

だが、目の前にあったカスピ海ヨーグルトの種も気になる……。

しかし、実家の方でも売っていることを思い出す。

ならば、実家の方で買った方が良い。

私はそう思って、種菌を手に取ることはしなかった。


薬局で衣料用洗剤の詰め替えを購入する。

なぜかスーパーには置いていなかったのである。

「季節ものは置いてくれないのかしら?」

私は桜の柔軟剤を愛用している。

詰め替えは一つ、実家から持ってきているが……。

それが尽きたらどうしようか?

実家に一つ買い置きしてあるから、親に頼んで送ってもらうか……。

通販で取り寄せるか……。

私はそこで頭を悩ますことになったのである……。





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