第67話 2回目のダンジョンアタック7
5日目は午前中に8階で肩慣らししつつ9階の魔物の情報集めだ。
探索の方に比重を置き、拠点には3人が残り9人で探索だ。
もう一組の社会人組の安藤さん、浦重さん、正木さん、と私、葵、桜井さん、茜、美雪、美緒さんだ。
伊勢さん、鈴木さん、五十嵐は拠点待機組となる。
昨日の目印を活用しものの1時間ほどで9階への階段へと到着した。
この広間で小休憩を取り、目的の認識の共有を図る。
「まずは9階の魔物の情報集めだ。 深追いはしない様にしてください」
「桜井さんはスキルの使用をお願いします」
「分かりました」
「橘さんは魔物と遭遇時結界を使用をお願いします」
「了解です」
「初めに出た魔物は葵さんと秋田さんの魔法で排除。 接触は避けてください」
「はい」
「分かりました」
「浦重さんは地図の作製、坂田さんと柊さんも作成方法を学んでください」
「「分かりました」」
「正木は罠の分析を頼む」
「了解」
「では行きますよ」
「「「はい」」」
昨日の伊勢さんに変わり、今日リーダーシップを発揮するのは安藤壱貴さん。
安藤さんの組は伊勢さん達の社会人組よりも年齢層が高めの社会人組だ。
具体的な年齢は聞いていないがアラサーという話は聞いている。
20代後半のアラサーか30代前半のアラサーかは分からないが、見た目からして30代前半のアラサーっぽい。
自衛隊服よりもスーツが似合いそう。 自衛隊服だと着られている感が強い。
道重頼一さんも同じく落ち着いた見た目だ。
ただ安藤さんよりは自衛隊服が似合う。 タバコとかも似合いそうな見た目かな? 吸ってるのは見たことないけど。
もう一人の正木孝信さんは見た目に頓着していないようで寝癖も付いたままだ。
拠点ではぼんやりしていることが多い。
だけれどもひとたび探索に入ると雰囲気を一変させ慎重で堅実な一面を見せる。
伊勢さん達は伊勢さん達で頼りになるが、こちらの社会人組も落ち着いていて頼りになりそうだ。
特に8階でゴブリンに遭遇した際、倒してドロップしたアイテムを誰が拾うかけん制する間もなく、粛々とビニール袋に入れ鞄に仕舞う姿を見て、女性陣の安藤さん達に対する尊敬度は急上昇した。
だが、恋愛には発展しない。 何故なら私たちは恋愛よりも探索の方に比重が傾いているからだ。
安藤さんと桜井さんが先導し、9階へと降りる。
1分もかからず9階へと降り立った。
9階も8階までの階層とそう変わりない。
壁は土壁のままだ。
「罠の数が増えてますので俺が先導します」
桜井さんが前に出る。
その後ろに安藤さんとバインダーを持った浦重さん、茜、美雪が続いた。
「安藤さん、罠はどうします? 全て一度作動させますか?」
「いや、まずは地図の作成を優先しよう。 対応不可能な罠だった場合全滅の恐れがある。 それは避けるべきです」
「分かりました。 では罠の前に印をつけて行きますね」
「桜井さん、お願いします」
「皆さん罠の前に印がありますので気を付けてください」
「「「「了解」」」」
罠を踏まない様に注意しながら薄暗いダンジョンを慎重に進む。
「前方左方面から魔物の気配が複数」
「橘さん、結界をお願いします」
「分かりました、『隔絶の結界』」
しばらく歩くと、ようやく9階の魔物と出会うことが出来たようだ。
指示されたとおりに通路に結界を張る。
張った直後ゴンッっという質量の有る鈍い音が響いた。
「……魔物って目が見えないの?」
昨日のゴブリンと言い、狼と良い……。
「遥の結界が強いんじゃないの?」
「遥の結界良き」
こそこそ小声でそんなことを言いあいながら距離を詰める。
どうやら結界自体は壊れていないようだ。
隠れながら通路の様子を皆で伺う。
結界の向こうに居たのはどうやらでっかい豚のような顔をした二足歩行の魔物だ。
「オーク……?」
「実物はデカいな」
倒れている奴はいない。
結界にぶつかったやつは頭を振ってキョロキョロと辺りを伺っているようだ。
ぶつかったオークの他に3体ほど見える。
「……皇さん、秋田さんここから攻撃行けますか?」
オークのような魔物とは10m程の距離がある。
「行けます」
「……ん」
「お願いします」
安藤さんが言葉を言い終わった瞬間、美緒さんと葵から攻撃が放たれた。
「フゴッ?!」
頭をぶつけた奴が炎に包まれ、次の瞬間葵が発した水魔法で刈り取られた。
炎で目つぶしした後ガードが緩んだところを水魔法で一閃って感じだ。
「魔法は効きそうですね」
「火力を試しても良いですか?」
「お願いします」
美緒さんの提案に安藤さんが許可を出す。
葵は倒せたことに満足そうな顔をしている。
美緒さんが引き続き炎魔法を放つ。
突然倒れた仲間を見て右往左往していた一体が燃え上がる。
「フゴッ?! フゴゴゴ……」
絶命し光となって消えた。
「炎魔法も通じますね」
「次橘さん、1体だけ隔離できますか?」
「分かりました。 『隔絶の結界』」
右往左往しているオークを1体だけ分離する。
残り2体の後ろにも結界を張り、退路を断つ。
ようやくこちらに気づいた1体が斧を振り上げながら突進してきた。
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