第5話注文

僕は都会に来たからと言って、しゃべる言葉のイントネーションは変えなかった。

何故か、売国奴のような気持ちがして。

標準語はしゃべろうと思えばしゃべれるが、鹿児島イントネーションでずっといた。

そこで、彼女に頼まれて吉野家へ牛丼の持ち帰りを買いに行った。

入店し、

「すいません。牛丼並みの持ち帰りを1つと、大盛りを1つおば御願いします」

と、50代であろう女性店員に言った。

すると、

「申し訳ありません。もう一度」

「だから、牛丼並と大盛りの持ち帰りをば下さい」

「……店長、外国人の方がみえられて、言葉が分かりません」

僕は頭に来て、

「クソババア、何言ってやがる。日本人だ!バカヤロー。田舎モンだからって、馬鹿にすんな!」

すると、

「申し訳ありません。もう一度」

僕は、牛丼の持ち帰りにも苦労した。これからは、店ではイントネーションに気を付けようと、心に誓った。


僕は居酒屋に行き、生ビールを注文した。

すると、大学生であろう女の子が僕に、

「Can You speak Japanese ?」

と、言うので、

「日本人だ、バカヤロー」

と、怒り店を出て、コンビニで缶ビールを買って飲んだ。

何なんだ。関西弁はどこでも許されて、鹿児島訛りは許されないのか?

これ以降も、お生まれはどこの国ですか?、日本に来て何年ですか?、日本語がお上手ですね。

とか、言われた。

鹿児島から出てきて、イントネーションを直すのに苦労した。

今でも、イントネーションは訛っているが、電話やタクシーでは間違ってはいけないので、イントネーションは標準語になる。

田舎者は言葉の壁に必ずぶち当たる。

歌手のAIは、どこでも鹿児島訛りだから、カッコいいし、好きだ。

遠慮することはない。

お国の訛りで、話そうではないか?

だいたい、名古屋だってイントネーションや方言が凄くクセがあるではないか!


田舎者の言い訳である。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

田舎者語り 羽弦トリス @September-0919

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ