第3話 ダイエット? ダメ、ゼッタイ!

 そうです。ダイエットはいけません。

 体重を管理し、健康的な体を手に入れるためには絶対にやってはいけないことがあります。それが、

 

 ダイエット!

 

 なのです。

 ダイエットはだめです。やってはいけません。ダイエットをすると太ります。太るだけではなく気分もどんどん落ち込み、心身ともに不健康な状態になります。なぜ、そうなるかというとダイエットというものは『期間限定のミッション』だからです。

 いつまでにこれだけ痩せる!

 その目標をもって取り組むのがダイエットです。

 仮に『一ヶ月で五キロ落とす!』という目標を掲げてダイエットに励むとしましょう。

 あなたはそのために某キャンプに参加します。多くの仲間と厳しいトレーナーに支えられて見事! その目標を達成します。

 でも、そのあとは?

 その状況を維持できますか?

 想像してみてください。

 キャンプに参加中、あなたは我慢に我慢を重ねる辛い日々を送っていたのです。それがようやく解放された。体重を五キロ落とすという目標も達成した。そこで、気が緩みます。しかも、一ヶ月振りに舞い戻った世間には無数の誘惑が待ち受けているのです。

 ラーメン、焼き肉、酒、色とりどりのスイーツ……。

 もう、誘惑てんこ盛りです。

 しかも、この一ヶ月間、トレーナーに監視されてダイエットに励んできたあなたには自分で自分を制御する力が付いていません。

 世間に満ちる誘惑の数々に対して、あなたはついこう思ってしまいます。

 『あんなに頑張ったんだからちょっとぐらいいいよね……』

 頑張った自分に対するご褒美だ!

 そう言い訳して誘惑に手を伸ばしてしまいます。

 そして、歯止めがかからなくなります。

 しかも、一ヶ月のダイエットによって太りやすく、痩せにくい体になっています。たちまちリバウンドし、ダイエット前よりも太ってしまいます。せっかくの成果を台無しにしてしまったことで気分は.落ち込みます。

 『自分はなんて意志の弱い、駄目な人間なんだ』

 そう自分を責めるようになります。

 こうなったらもう健康どころではありません。『猫まっしぐら』ならぬ『うつまっしぐら』です。

 まあ、これは極端な例ではあります。

 ですが、ダイエットに励んだことのある人なら多かれ少なかれ似たような経験をなさっているのでは?

 だからこそ、ダイエットに悩んでいるのでしょう?

 ダイエットと言うものが一度、成功したら永続するものならダイエットに悩む人間なんているはずがないじゃないですか。効果が続かず、すぐに戻ってしまうからこそ、全人類七〇億のうち88.46パーセントぐらいはダイエットに悩んでいるのです。

 ダイエットというものは試合を前にしたボクサーのように『この時期だけ体重を落としておけばいい』という場合に行うものです。

 私たちの目標は違います。

 生涯にわたって健康な体を維持する。

 それが、私たちの目標です。それは、生きている限りつづく目標。その目標を達成するためにはダイエットという『期間限定のミッション』は決定的にあわないのです。

 では、ダイエットをしてはいけないなら何をすればいいのか。

 幸い、日本語には古来からピッタリの言葉があります。

 養生ようじょう

 そう。生を養う。それこそまさに私たちがやるぺき事なのです。

 養生はダイエットとはちがいます。生きている限りつづく日々の営みです。

 日々の暮らしのなかで生を養い、健康を維持し、人生を生ききる。それこそが私たちの目標であり、やるべきことです。

 では、養生とはどのような心構えで行うべきか。

 次章ではその点を解説しましょう。

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