第15話 上原恭平は眠りから覚める

「ん……んん」

 あれ?僕は眠っていたのか?

 確か、今朝もいつも通り瑠美夏の朝食を作る為に隣の家に行って、何とか朝食と弁当を作って、それから……。

「ここに戻ってきて、また泣いたんだっけ……」

 僕は寝起きの頭を振って枕元に置いてあったスマホを手に取って時間を確認す───

「十四時半!?」

 嘘でしょ?

 僕は、ちょっと目を閉じただけだったのに、気が付くとお昼をとうに過ぎている。

 うわっ!竜太から凄まじい数の着信とメッセージが来てる。

 そうか。竜太に心配をかけちゃったな。

 僕は竜太から送られてきたメッセージを見る。

 すると、内容は全て僕の身を案じてのメッセージばかりだった。

 それを全部見て、僕は竜太に【今起きた。心配かけてごめんね】とメッセージを送った。

 それからすぐに既読になって、竜太から【良かった。とりあえず放課後お前の家に行く】と返信が来た。……今、授業中だよね?

 僕はベッドから出て、顔を洗う為一階に降りる。久しぶりによく寝て、身体は幾分かは軽くなったけど、心は晴れない。

 鏡を見ると、自分の顔がそこにあるのに、その顔はまるで自分じゃないような人相の男が立っていた。

「……すごい顔」

 昨日、散々泣いて目が腫れている。顔全体に覇気がなくやつれていた。

 僕はそのまま顔を洗い、何か食べようと思ってリビングに行くも、昨日の事がフラッシュバックしてまた吐きそうになる。

 結局水だけ飲んで、自室に戻った。

 じっとしていても、昨日の事を思い出すのでスマホでネットサーフィンをしたけど、それほど気が紛れなかった。


 夕方になり、僕の家のインターホンが来客を告げた。

 玄関を開けると、やはり竜太だった。

「よっ、恭平。大丈……うおっ!」

 コンビニの袋を持っていた竜太は、僕の顔を見て、途中で言葉を切り驚いていた。さっき鏡で見た顔の人間が出迎えたらそうなるのも当然か。僕だったら逃げ出す。

「お前……大丈夫かよ!?何があった?」

 竜太は逃げ出さず、僕の傍に来て心配し、声をかけてくれた。

「うん。……大丈夫、なのかな?」

 正直、自分の状況を見ると、大丈夫なのか怪しくなり、つい曖昧な返事をしてしまう。

「お前……」

「と、とりあえず中に入ってよ」

 僕は力なく竜太を家に招き入れ、リビングに通した。

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