第56話 ついにその時が来た

 まずい……いや……今さらではあるけども、俺たちは……


「フザケルナ……ドッチダ? ソレトモリョウホウカ? ボッチャマトヤッタノハダレダ!?」

「ワタシノゴシュジンサマヲケガシタゴミハユルシマセン」

「ドーイウコトカナア?」

「セーンーパーイー?」


 おっと、乙女たちの目がハイライトになって病んでる!? いかん、なんか殺されるんじゃないかという空気が――――


「姫様、ご安心を」


 おっと、ここで当事者のイチクノが手を上げる。

 この状況をどうにかできる言い訳でも思いついたか?



「あくまで拙者が行ったのは調査の一環でござる! 旦那様は……あっ、いや、御館様でござった……と、とっても太く逞しく、きっと姫様も満足し、拙者らのややこも……あ、えへへ、ややこ……♥」


「「「「………………」」」」


「いずれにせよ、本気を出したお館様は超絶なテクニシャンでござる! あの技法……もはや女であることを改めて思い知らされ、分からせ、そして孕まさ……あ、いや……えへへでござる♥」



 ただの惚気だった。



「うふふふ、そうですねぇ~。ハーくんってば、私の可愛い子供なのに……マーマの旦那様になって、意外とすぐにパーパになってしまうかもしれませんねぇ~♥」


「「「「………………」」」」


 

 おおっと……ヴァブミィも誇らしげにお腹を擦りながら凄いこと言いましたよ。

 もうダメだ。

 二人の言葉を聞いて絶望する俺と、沸々と込み上げる何かが徐々に溢れるソードたち。

 すると……



「っざけんじゃないわよぉ、エロエロ大魔神!」


 

 と、そこで、皆が静かにキレる中で、一番声を荒げたのはチオだった。


「チ、チオ……」

「私とママにあんなスケベなことしまくった直後に何してんのよぉ!」

「ちょっ!?」


 そう、それは……



「キスしたくせに! 『こっちの穴ならセーフ』って、私とママが壊れるぐらいに何度も―――――」


「ぬえわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッ!!!!」


「「「「えっ……」」」」



 アウトです。うん、アウトです。セーフじゃなくてどこだろうとアウトだわ。すみません。本当に生まれて来てごめんなさい!

 だから……



「「「「……ふ~ん……」」」」



 あっ、イカン。

 今のチオの言葉で完全に……



「坊ちゃま……小生はどうやら慎ましすぎたようです……坊ちゃまの意志で乱暴に犯していただくのを待っていたり、ご褒美のためにと真面目に課題を取り組んだり……ヤルならさっさとヤルべきでした」


「ご主人様……そうですか……そうなのですね……ドスケベではなく真面目な御主人様にどうやって豚にしてもらおうかと日々悩んでいましたが……もういいです。私が強制的にご主人様をもらいましょう」


「ハビリィ~、許さないよぉ? ねえ……妻を差し置いて、こんなにたくさんの女の子とヤッちゃうんだから……もー許さないから……遠慮も何もしないから! もう、子供絶対にすぐ作るから!」


「先輩……僕だけ何もないんですね……僕だけ……チオさんやミィさんは僕より出会いが遅いのに……ソウナンデスネ」



 刺される? 奪われる? 

 よく分からんが、そんなイメージが頭を過って、戦慄した。


「ま、まっ―――――――」


 あれれ~おかしーぞー? 俺はこの世界でこの人生では前回の人生を恥、二度と女を傷つけたり穢したりしないとか誓ってなかったっけ?

 それなのに、なんか、穢しまくるし傷つけるし、むしろ前回よりも酷いことになってねえか?

 この世界では「ソードたちの方から俺を求めてる」というものの、俺は「俺にはそんな資格が無い」的に日和って、何とか逃げ回るも、何か知らんけどいつの間にかチオもヴァブミィもイチクノも……どうしてこんなことに?

 そして、これをどうすれば―――――




―――ドォォォォォォォンッ!!!!!!



「「「「「え……?」」」」」



 その時だった。

 一瞬、俺が皆から攻撃されたのかと思ってビクッとしたが、違った。

 皆もあまりの突然の轟音にビックリした様子。

 一体……



――イチクノ! どこにおる! 緊急事態だ! イチクノ!


「ぬっ! この声は……兵長殿!」


――イチクノ、まず姫様は傍にいらっしゃるか?


「おりますが……いったい何ごとでござる?」



 そのとき、イチクノが頭を押さえながら喋りだした。

 どうやら念話のようだな。

 口ぶりから宮殿の兵士からか?

 いったい……



「なに? ……魔王軍が……攻めてきた?」


「「「「「ッッッ!!??」」」」」

 


 このタイミングで、ついに来たか!

 いや、もういつ来てもおかしくないと思っていたが、やはり来たか。


「姫様……どうやら魔王軍が軍を率いて帝都を襲撃しようとしているようでござる」

「……それじゃぁ、この音……」

「ええ。帝都の門を閉じて籠城に。拙者らは転移で戻れますので、すぐに宮殿へ戻りましょうぞ」

「……こんな時に……ムカつくなぁ!」

「同感でござる」


 そう、そろそろ来るタイミングだと俺は分かっていたものの、トワレたちからすれば「よりにもよって」なタイミングであり、そう思うのは無理もない。

 しかし……



「魔王軍……ぐへへへ、坊ちゃま……約束は果たしてもらいますぞ? 六星でも倒したら……ふふふふ」


「ええ、もう何も我慢も遠慮もしませんので。それにちょうど良かったです……殺し過ぎてもまったく問題ないゴミムシたちが現れてくれたのですから」


「魔王軍……正義のためにと言いたいところですが……こんな理由じゃダメかもですが……ちょっと今日の僕、機嫌悪いのでやっちゃいますよ?」


「ほんっっっと、ムカついた! 魔王軍? だから何だってのよ! 全員ぶっ潰してやるわよ! 私はもう今は誰でもいいから殴り殺したい気分よ!」


「安心ちてね、ハーくん。マーマ、頑張っちゃうから! ええ、ハーくんとの幸せライフを奪おうとするものは……大魔王でも、たとえ主であっても殺します」



 わー、なんか怖いおねーさんたちがスゴイやる気満々なんだけどー?




 っていうか、よくよく考えたら今この場に奇跡の黄金世代が全員集結している?




 色々と元の歴史からズレたり、登校拒否だったりでどうなるかとも思ったが、この魔王軍が襲撃するという事態に、ようやく最低限の形にはなったと思う。




 あとは、戦うだけだ!!!!




――第三章 完――





――あとがき――

これにて上品まみれだった『第三章:精子に抗う』は区切りたいと思います。


次章からは熱い尻ass……じゃない、シリアスな展開も増えると思いますが、よろしくお願い致します。


果たして歴史に抗うことはできるのかなぁ?


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また、上品版のノクターンの方も別途宜しくお願い致します。


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