【異世界迷宮で俺だけリミットオーバー(上限値解放)】な件。~虚無君からの圧倒的成長!究極へ至る~【リミットオーバー・ダイヤモンドハート】
第20話 クラスチェンジさえも上限値開放(リミットオーバー)する
第20話 クラスチェンジさえも上限値開放(リミットオーバー)する
(クラスチェンジ……。無職の俺に、職業が?)
職業(クラス)とは、剣士や槍使いなど、戦闘における役職を示すものだ。
クラスはランクFから仕様可能となる。迷宮ではこの称号に応じてステータスが強化される仕組みとなっている。
ちなみに今の夢斗のクラスは無職だ。ランクXからレベルが上がらなかったのだから、職業さえもなかったのだ。無職の状態でBランク番人と、戦い抜いただけでも、奇跡的といえた。
『戦闘中ですので一時的に意識を60倍に加速させます。現実時間の2秒を、120秒の加速時間として定義。120秒以内にクラスを選んでください。残り118秒』
「無職脱出……。できるのか?」
『戦いの中で強くなったのです。勝利するためには無職から脱出するしかありません。クラスを選んでください。107』
クラスの解放条件が、〈パラメータの強化〉だったというわけか。
どうやら武術レベル100以上が解放条件だったらしい。
夢斗の脳裏にクラスが展開される
【クラスツリー】
剣士系 →剣闘士
→ソードダンサー
→フェンサー
槍使い系 →槍術師
→ランサー
→アーマー
斧戦士系 →剛戦士
→ウォーリア
→バーサーカー
弓使い系 →弓道師
→マージアーチャー
→ライドアーチャー
武術家系 →達人
→モンク
→マーシャル
「なれるクラスが、いきなり多いな」
『無職のまま、短期間で圧倒的成長を果たしたためです。93』
スカージと闘う前にクラスチェンジできたならば、剣士や槍使いの状態で戦闘に突入できたかも知れなかったのが悔やまれた。
すぎたことを悔やんでもしょうがない。
夢斗は限られた時間で、クラスを選ぶ。
(……選べねぇ)
いざ決めようとすると迷ってしまう。加速した意識時間は一分弱。時間はほとんどない。それなのに夢斗は、思わず魔が差してしまう。
「どれも、違う」
『え?』
「どれも、違う気がする。俺の職業じゃない気がする」
『意味を図りかねます。どの選択をしても無職でいるよりはマシかと。75』
ロココの返事は妥当だ。だが夢斗には彼なりの意図があった。
「〈上限値解放〉してない」
『はぁ』
「俺が望むのは可能性なんだ。このクラスツリーそのものを〈上限値解放〉したい。できるか? 俺が欲しいのは【ここにないもの】。【裏クラス】なんだ」
『あなたは……。クラスツリーさえも拡大したい、ということですか? 51』
「できるんだな?」
『システム上は可能です。スキルツリー(樹形図)の項目を上限値解放し、裏の職業を解放することはできます。でも何が起きるかはわかりません。36』
ロココは梟の眼差しで、夢斗をみた。
「それでいい。何が起こるかわからなくてもやる。きっと裏道を行くのが俺なんだ。後悔はしない」
夢斗は不思議と笑っていた。クラス選択に失敗しハズレクラスを引けば、スカージに殺されるかもしれないというのに。
それでも覚悟はできてる。
今までは、何をやっても虚無(ゼロ)だったから。
ハイリスクハイリターンだって、上等なんだ。
「時間がない、やってくれ!」
残り思考時間は20秒弱。
『畏まりました。クラスチェンジツリー上限値解放および、夢斗さんの【裏クラスチェンジ】を起動します。……検索終了。情報照合せず。クラスは未判明のままクラスチェンジを適応します。12』
「頼む」
『起動』
クラスチェンジが発動し、夢斗の周囲が光りに包まれる。
10。
「これは……?」
武器召喚に用いていたゲートから、光の柱が発生。
光の柱が、夢斗の全身を包み込む。全身が光に包まれると同時に、力が漲ってきた。
「これがクラスチェンジ?」
9、8、7。
細胞の一つ一つがクラスのものに置き換わっている。鍛え上げた筋肉も喜んでいた。だが同時に、異変も起きていた。
光の柱の後に、どす黒い柱が舞い降りたのだ。
「なんだ? これは……。闇、だと?」
光の柱の後に、夢斗の全身を【闇の柱】が覆いつくしていた。
6、5。
何が起こるのだろう。瞬間、すさまじい負荷が全身に襲い来る!
「ぐぅ。ぐぁぁああああああああ!!!」
それは、圧倒的な重力だった。
『耐えてください、夢斗さん。この力はデータには存在しない。前代未聞のクラスゆえの衝撃です。8』
7、6。
「ぐぉおおおお。がぁあぁぁあああああぁ!!」
夢斗に降り注いだ【闇の柱】は、膝を突いてしまいそうなほどの負荷だった。
中学生の頃、太っている人にボディプレスをされて虐められたことがあったが、その数倍以上の衝撃が全身くまなく、襲いかかっている。
闇の柱の重力は、さながら、力士が雨となって降り注いでいるかのようだった。
5。
「ぎ、がぁ。がぁぁぁぁぁあああぁぁああ!!!」
4。
それでも夢斗は耐えた。ダイヤモンドマッスルだけではなく、腕立てやスクワットもしていたから耐えられた。
無職を脱出したい。進化をしたい。
3。
(ゆくゆくはあの白い騎士に……。パルパネオスに)
もう一度、挑んでみたい。
2。
自分を殺した相手に対する奇妙な感情があった。復讐とは違う。悔しさとか屈辱だけでなくて。
純粋に圧倒的な存在に、手を伸ばし。
破壊してみたい、衝動。
(また闘いたい)
戦士としてぶつかりたいと思ったのだ。
1。
パルパネオスとは敵でありながら、夢斗にとっては目指す到達点となっていた。
(だから重力にも)
夢斗の全身を闇の柱が押しつぶしていく。負荷であり、エネルギーの充填だった。
「うおぉお。おぉおおおぁぁぁあ!!!」
やがて闇の柱が収束。夢斗の肉体に収斂(しゅうれん)する。
「はぁ、はぁ……がっ。はぁ……」
0。
クラスチェンジのすべてのエネルギーが夢斗の中へと入り込んだ。
『成功です』
ロココによって加速された意識時間が終了。
夢斗は進化した自分のパラメータを網膜投影で確認する。
(武器は、ない)
剣士や剣闘士、ソードダンサーではない。
槍使いでもランサーでも、ガーディアンでもない。
斧とも弓とも違う。
(武術家からの派生、か?)
武術家の派生は〈達人〉か〈マーシャル〉か〈モンク〉だが……。
そのどれでもない。
全くの【亜種】。
すなわち規格外中の、規格外を意味する。
『データにないクラスです。力は未知数です。何が起きるか。いかなる強さかは、すべてが不明瞭です。……確認をします』
ロココの言葉を受けながら、夢斗は網膜投影から自分の変貌したクラスを見つめた。
京橋夢斗
探索者ランク:X
クラス:【適職なし】
レベル35
HP88 攻撃55 防御80
魔力55 魔防55 俊敏73
技 なし
称号〈精神強者〉、〈憑依炉の器〉
↓↓↓
クラス:【暗黒武術家(ダークネス・マーシャルアーツ)】←new
レベル35
HP88 攻撃155 防御80
魔力55 魔防55 俊敏146
技 【暗黒加速拳】←new
称号〈精神強者〉、〈憑依炉の器〉
防御系のパラメータは変わらない。
だが攻撃力は三倍近く。速度は二倍となった。
殻は破られた。
夢斗はぐっと拳を握りしめた。
――――――――――――――――――――――――
用語解説
クラス【暗黒武術家】
:『理の外側の力』を武術に昇華したクラス。
:『理の外側の力』+『現世の力である武術』が融合を果たしたことで、彼岸と此岸の力を併せ持つ存在となった。
:理の外側の力は『次元干渉能力』『空間歪曲』などがあげられるが、人である限り限定的にしか、『理の外側の力』にはアクセスできないようだ。
――――――――――――――――――――――――
スペース
既存のすべての職業を蹴って、未知の職業〈暗黒武術家〉を選び、ランクXの『赤ちゃん』から『規格外の存在』になりました。
「進化しすぎかい!」と思って頂けたら、☆1でいいので評価お願いします。レビューも随時宜しくお願いします。
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