共闘してロック鳥さんを倒そう!2
瞬発的に放つ魔法はママが推奨していなかったのでわたしも、
理由は簡単、制御が難しいのだ。
水をいっぱいまで入れたペットボトル――その口を掌で押さえながら逆さにする。
その状態で、手のひらを離し、水滴を一つ床に落とそうとする――そのぐらい困難なのだ。
なので、わたし達はモクモクを
瞬発的に放つ魔法はわたしと
わたし達兄妹では、唯一、
いや、ここにいないお兄ちゃんの事をあれこれ考えても、詮無い事か。
わたしは近衛騎士妖精の白雪ちゃんにお願いする。
「ごめん、白雪ちゃん!
籠を持って、どこかに待避してて貰えない!?」
白雪ちゃんは強いけど、わたし以上に魔力攻撃に依存していそうな彼女では、ロック鳥さんへの攻撃手段が限られてしまう。
それに、これからは
その辺りが分かっているのだろう、白雪ちゃんは、心配そうな顔をしながらもコクコクと頷いてくれる。
そして、胸から飛び出ると、わたしの背にある籠に取り付いた。
わたしが両腕を後ろに反らすと、籠は白雪ちゃんと共に後ろに流れていく。
ロック鳥さんも、わたしよりさらに小さい白雪ちゃんを狙う事は無いでしょう。
良し!
わたしは体をお兄ちゃんに寄せて叫ぶ。
『
『うん!』
ママや兄姉の体は、前世大型トラック張りに大きい。
手で毛を掴んでいるけど、お兄ちゃんが急反転とかし始めたら、あっという間に振り回されてしまう。
なので、ママ達に乗る場合は、その毛を
この辺りは慣れているので簡単――
よし、これで大分安定してきた。
わたしは再度、声を上げる。
『
『平原だと、上から狙われ放題になるけど!?』
『逃げるならともかく、やっつけるなら、動きやすい方が良いでしょう!』
『……小さい妹って、案外、好戦的だよね』
えぇ~
そうかなぁ~
しばらく、森の中を行くと木々が途切れている場所に出た。
とたん、巨大な影に覆われる。
後ろを振り向くと、狙い澄ましたかのように、ロック鳥さんが爪を向けて襲いかかってきた。
それに対して狙い澄まし、「えいっ!」とわたしはモクモク投げ刀を投げつける。
爪をこちらに向けているので、魔力は崩せない!
と思ったけど、ロック鳥さんはそのままの姿勢で鳴いた。
投擲したモクモク投げ刀の形が崩れ始める。
が、消し去るまでには至らず、ロック鳥さんの胸を打ち、体勢が崩れた。
ロック鳥さんの爪は、わたしたちの後ろで空を掴む。
『
『うん!』
この辺りは、以前、飛竜さんを狩った時の要領と同じだ。
すぐに平原に円を描くように走り出す。
その場にいた弱水牛君やマンモス君らが慌てて逃げていく。
失礼、失礼、申し訳ない!
ロック鳥さんが上空を旋回する。
わたし達とは逆回り――時計回りで飛んでいる。
タイミングを計っているのだろう、チラチラと視線を感じる。
空を飛ぶ相手だと、”基本”、こちらから動く事は出来ない。
ロック鳥さんを注視しつつ、訊ねる。
『ねえねえ、
そもそも、なんであのロック鳥さんは、こんなにしつこく、お兄ちゃんを狙ってるの?』
すると、
『最初は僕が狩ろうとしたんだけど、返り討ちに遭って、掴まっちゃったんだ。
まあ、隙を見て逃げ出したんだけど……。
どうも、一度捕まえた獲物には執着する
なるほどね。
『あれでも、ロック鳥はロック鳥だから、森とかにはめったに下りてこないんだ。
だから、冬ごもりの期間は籠もってやり過ごしたんだけど……。
春になって、そろそろ忘れたかなぁ~って森から出たら、見つかってね。
その時は、谷間を上手く使い反撃したんだけど、仕留めきれず……。
それ以来、前にもましてしつこく追いかけてくるんだ』
そう言われて見てみると、顔の部分にひっかき傷がある。
流石は
感心していると、
『しかも、やたらと警戒し始めてさ、近づく時はひたすらギャァ~ギャァ~! 魔力を打ち消す例の鳴き声を上げまくってさ。
余りの五月蠅さに、頭にきて、一時期は僕もお返しにと吠えまくってたよ。
まあ、馬鹿馬鹿しくなって、三日ぐらいで止めたけどね』
ハハハっ! って感じで話しているけど、わたしはそれどころじゃ無かった。
ムカデが南下してきたのって、それが原因だよね!
ロック鳥さんばかりか、
そんな地獄のような場所、わたしだって離れるもん、本当に!
よもや、町が大変になった原因が、
そのことを言った所で、きょとんとされるだけだろうから、言わないけどね!
などとモクモクさせながら頭を抱えていると、ロック鳥さんが降下してきた。
わたし達の進行方向を逆走する形にだ。
それを追うように、ロック鳥さんも向きを変える。
これなら、どうだぁぁぁ!
わたしはモクモクで生み出し、
「ギャァァァ~!」
ロック鳥さんが嘴を開けて吠える。
相当魔力を込めた白いモクモク玉だったけど、形を崩し――玉の中に入っていた熱湯(砂付き)がロック鳥さんの顔面に向かっていく。
が、ロック鳥さん、体を
体が大きいのに、器用な事を!
しかも、その状態で鉤爪を繰り出してくる。
この!
「うぁぉぉぉん!」
わたしの”威嚇の一吠え”をロック鳥さん、再度、受け流すように体を翻す。
能力だけじゃない――このロック鳥さん、素でも強い!
前世、Web小説風に言えば、ロック鳥さん(エリート)ってところか。
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