第5話


 大学初日。

 最初の講義はガイダンスと言うこともあり、大変ではなかった。

 ただ、朝奈と被らせて取った講義に、彼女は現れなかった。


 寝坊した?

 もしかして忘れている?

 そんな事を思った俺は携帯電話を開いた。


『朝奈~起きてるか? 講義終わっちゃったぞ~』


 数分後ピコンという着信音がなった。


『ごめん。あたししばらく大学行けないかも』


『何かあったの?』


『う~ん。ちょっと入院する事になってさ』


『入院! 大丈夫なの?』


 入院という単語に嫌な汗をかく。


『うん。ちょっと体調が良くなかっただけだから。直ぐに退院出来ると思うよ』


『マジか~。今日もう大学終わったからお見舞い行くよ。どこの病院?』


『大変でしょ? 良いって』


『久しぶりに顔も見たいしさ』


『え~わかった。場所はね......』


 入院と聞いてびっくりしたが、すぐ退院出来るとして安心した。

 朝奈と過ごす大学生活はきっと楽しいはずだ。

 出遅れてしまった分は俺がカバーしよう。

 この時はそんな風に考えていた。

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