第3話


「ゆうくん~! 受かった! あたしの番号合ったよ!」


 朝奈は受験票を片手にぴょんぴょんと跳ね、喜びを表現していた。

 そう。今日は大学受験の合格発表の日だった。


 俺と朝奈は同じ大学を受験した。

 俺は先に合格が決まっていたので、今日は朝奈にとっての運命の日だったのだ。


「朝奈おめでとう!やったな!!」


「うん! これでゆうくんと一緒にいられるね!」


 駆け足で俺の腕に抱きついてきた彼女は満面の笑みだ。

 俺は彼女の笑顔が好きだった。

 日に向かって咲くアサガオの様にキラキラしていたから。


「ゆうくんが応援してくれたおかげだよ!」


「オレは別に何もしてないよ。朝奈が頑張ったから受かったんだ」


「本当!? あたし偉い?」


「あ~めちゃくちゃ偉い。それっ!」


 俺は彼女の頭をわしゃわしゃと撫でた。

 これからも朝奈と一緒に居られる。

 そう考えるとオレも嬉しかった。


「くすぐったいってー!」


 彼女は身体を揺さぶりながらも、されるがままだった。


「え~嫌だったのか?」


「嫌じゃ......ないよ?」


「ならいいじゃん。ほいっ!」


「いや~だ~」


 他愛もない会話。

 彼女とのスキンシップ。

 こんな毎日がこれからも続くと、この時は信じていたんだ。

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