或る日、意識を失って。

作者 崔 梨遙

120

41人が評価しました

★で称える

レビューを書く

★★★ Excellent!!!

突然「あなたが存在することに価値はあるか?」と聞かれたら…どう答えられるだろう。おそらく作者は、これを己に幾度も問わずにはいられないほどの経験をしてこられたのではないだろうか。極限状態の中で繰り返される、自分は本質的になにものなのかという問い。はっきりと迷いなく正解を言い当てられる人は…少数だろう。それでも当レビュー筆者は、たまに自問してみるのもいいかもしれないとも思っているし、正解の出ない問いがあってもいいのではないかとも思っている。そして小説(エッセイ等も含む)を書いたり読んだりすることも、自身の本質を分析する一助であるような気もしている。この小説のように。

★★★ Excellent!!!

 短い物語ながら、読み終わって心にずしんと響いてくる物語です。
 
 感じ方は人それぞれだと思います。
 きっと作者様も、それを願っている気がします。
 一人一人が己の心と対話しながら、この物語を読んでいく。
 それこそが醍醐味となっている作品。

 でも、ラストの一言はとてつもなく優しいです。

 是非、多くの方に読んでいただきたいと思いました。

★★★ Excellent!!!

 これは、彼岸と此岸の境をさまよう魂の話であるな、と感じた。ちょっと言葉にできないような悲しさがある。作者様の叫びが聞こえるような感じすら覚える。おそらく、限りなく実体験に近いお話なのだろう――と思う。そうでなければ、この痛々しいまでの不条理は書けない。そう思った。

 私はこの小説を読んで、「地獄の道行き」を思い出した。死者の魂は裁かれ、試され、量られて、ようやく転生するという。この小説は、その道行きを辿っているようにも思える。最期は生命のありがたみに感謝する言葉で終わっているが、それが果たして正解なのかは分からない。僕はまだ大悟の域に達していないからだ。それは、きっと作者様も同じなのだろうと思う。いや、もしかしたら、その域にまで手を伸ばしているのかもしれない。だとしたら、酷く淋しく感じる。

 どこまでも内側に潜っていき、最後には裏返って現世に戻ってくるような作品である。深い内省がなければ、こういう小説は書けないと思う。だが、僕は心配せずにはいられない。内に向かい過ぎると帰ってこられなくなってしまうからだ。ただただ、作者様が穏やかでいられるように祈るばかりである。