第45話

 蔑んだ目でこちらを見てくる春。

 

 「仕方ないだろ。あの時はそう答えるしかなかったんだから」

 

 「どういう事!?」


 莉奈がうつ伏せの状態のまま問いかけてくる。


 「覚えてないのか?莉奈が飛び出て行く前に俺と喧嘩したじゃないか」

 

 「そ、そうだけど」

 

 どうやら、莉奈は喧嘩をしたのは覚えている様だったが、喧嘩をした理由までは覚えていないらしい。

 

 「莉奈が俺の家に遊びに来て・・・だな」


 普通に話そうとして、口籠る。

 こんな公共の面前で話すと誤解を招く可能性があったからである。

 

 「おにぃ。ちゃんと話してよ」

 

 「冬也。お願い」

 

 春と莉奈の二人に強く強請られ、俺は答えるしかなかった。

 

 「夕方になって。お風呂の時間になったんだ。・・・その、お風呂に莉奈も一緒に入るって言いだして・・・」

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