第六話 制空攻撃隊の奮闘
零戦四十三機と九七式艦上攻撃機一機によって構成されている制空攻撃隊は、四航戦を発艦してから約四十分ほどで
欧州戦線において激しい航空戦を展開しているイギリス軍は、既に艦載レーダーを実用化・配備しており、
A部隊司令部は協議の末、装甲空母の防御力を信じ防戦に徹することを決定、フルマー戦闘機十二機・シーハリケーン戦闘機九機・
英迎撃隊は、艦隊からの優れた航空管制に従い秘かに制空攻撃隊に接近、視界を占める殆どの敵航空機が戦闘機のように見えたものの、恐れることなく攻撃隊へと突撃を敢行した。
英迎撃隊の奇襲攻撃を受けた制空攻撃隊は、零戦一機を喪失したものの攻撃隊を構成する機体の殆どが零式艦上戦闘機であることを活かし、英迎撃隊の奇襲攻撃を難なく回避、逆に迎撃隊を殲滅しようと突撃を始めた。
かくして始まった航空戦だが、その決着はいとも簡単についてしまった。常識的に考えてみよう。戦闘機数は、四十三対三十六と英迎撃隊が劣勢、しかも英迎撃隊は時代遅れな複葉・複座機によって半数以上が構成されている。
その為、英迎撃隊は零戦隊によって壊滅、制空攻撃隊は敵甲艦隊上空の制空権奪取に成功した。南雲中将から命令された
迎撃隊壊滅という予想外の事態にA部隊は混乱したが、司令部はレーダー情報から敵攻撃隊が戦闘機のみで構成されていると判断、敵空母艦隊が
しかし、第四航空戦隊には敵艦船を沈めうる攻撃機が一切搭載されておらず、A部隊に対する攻撃隊はこの制空攻撃隊のみであった。しかし、A部隊司令部は全艦に「戦闘機への対空射撃は効果がない」ことを理由に対空戦闘を行わないように命じてしまった。
敵艦隊による対空戦闘が行われないという好機の到来に、制空攻撃隊四十機は敵艦隊上空を最高速で低空飛行しながら艦船への機銃掃射を開始した。
帰還時の燃料確保及び搭乗員の疲労事故防止の為、機銃掃射は二十分ほどで終わり制空攻撃隊は四航戦へと帰投した。たった二十分の攻撃ではあったが、機銃掃射がA部隊に与えた損害は大きいものだった。
南雲中将の魂がこもった制空攻撃隊は、空母運用で劣る英艦隊相手に善戦しA部隊を撤退に追い込みうる戦果を挙げることに成功したのであった。
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