52 『過去からの日記』
第47話でもお話ししましたが、私はひところ女優の蒼井優さんに夢中になっていました。
その頃、某有名動画サイトで「世にも奇妙な物語」の1エピソードである『過去からの日記』を発見しました。
これは西島秀俊さんと蒼井優さんの共演作で、「世にも奇妙な物語」にしては珍しくホラーでもサスペンスでもない、ファンタジーでした。2004年の「世にも奇妙な物語 秋の特別編」で放送されています。
デビュー作以来、第2作が書けないで、工事現場の作業員をしている作家くずれの山岡貴志を西島さんが、入院中の17歳の少女・北嶋ゆりえを蒼井さんが演じています。
ここから先はネタバレになります。
山岡が古本屋で買った本に紛れ込んでいたゆりえの日記帳を通じて、この2人は3年の時空を超えて交換日記をすることになります。山岡のいる世界の3年前の世界に、ゆりえはいるのです。
ある日ゆりえは自分が余命1年であることを、日記に書いて山岡に知らせます。山岡は彼女が入院していた病院を訪れ、彼女の行方を尋ねますが、彼女は既に亡くなっていました。
しかしそのことを山岡はゆりえに知らせることができず、「元気になった君に会った」と日記に書いてしまいます。泣きながら。
山岡が落とした涙で日記の字が滲み、ゆりえはそれが嘘であることに気づいてしまいます。それでもその優しい嘘に、ゆりえも泣きながら「良かった」と応えます。
そしてそのあと、日記は消えてしまいます。
山岡はゆりえとのやりとりを「過去からの日記」という作品にして出版し、それが大ヒットします。
山岡はその後もゆりえが入院していた病院を訪れては、その敷地にあるベンチで物思いにふけっていました。
そのとき、奇跡が起こったのです。
ゆりえが山岡の前に現れて、言いました。「信じてたよ。ずっと」
このストーリーは、何度か「傑作選」として再放送されているのですが、ソフト化されていません。2015年に行われた「世にも奇妙な物語」人気投票では第18位だったそうで、非常に高い人気なだけに、残念です。
私はこのお話にすっかり魅了され、勝手に後日談を考えたりしていました。
日記が消えたのは、ゆりえが死亡するという未来(山岡にとっての過去)が変わってしまったからに違いない、とか。
ゆりえは山岡の嘘を実現するために、海外の専門病院で高度な医療を受けたに違いないとか。そういったことをゆりえから聞いた山岡は、「過去からの日記」の続篇として、彼女視点の「未来からの日記」を書くだろうとか。
やがて2人は付き合い始めて結婚するだろうとか。
考えてみたら、そういう妄想ネタが私の作品『グレイトヒーローズ』に結構使われているのでした。
●本日の猫
今朝、ハチコと5匹の子どもたちにご飯をあげたら、私の足を舐める猫がいました。最初、ハチコだと思ったんですが、良く見たらハチオじゃないですか。
珍しいこともあるものです。今までこんなことはなかった猫なんですが。
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