51 好きな漫画⑨「百億の昼と千億の夜」


 えらいことに今頃気がつきました。


 「好きな漫画」エピソードに、どうしても書けない作品が2つあったんです。萩尾望都先生の『百億の昼と千億の夜』と、諸星大二郎先生の『暗黒神話』です。


 どうしてかというと、前者は中古本しか存在せず、後者は文庫サイズでしか新刊本が入手できないからでした。


 ところが昨日、amazon で検索したら、あったんですよ『百億の昼と千億の夜』が「完全版」として!

 2750円とちょっと高いんですが、即刻、電子書籍で買いました。


 何が「完全版」なのかというと、冒頭のカラーページが完全復元され、紙版だと大判サイズになっています。さらにイラスト集・エッセイ・スケッチ・萩尾望都先生に聞くSF100の質問インタビュー(最近のものらしい!)がついている豪華本なのです!


 本編は400ページもの大作ですが、正直あまりにもスケールが大きすぎて、最後の部分しか記憶にありませんでした。


 原作は光瀬龍先生で、私は漫画の方を読んでから原作を読んだのですが、驚いたことに原作にないエピソードも漫画に盛り込まれていました。つまりその部分は萩尾先生の創作ということになります。


 今回「完全版」の原作者のエッセイで、光瀬先生は萩尾先生の好きなように描かせていて、結構気に入っていたことがわかりました。


 改めて読んでみると、本当に途方もないスケールの物語です。あらすじなんて、とても書けません。


 主な登場人物は登場順にいうと、哲学者プラトン、シッタータ(ゴータマ・シッダールタ=仏陀)、阿修羅王、ナザレのイエス、ユダ。


 宇宙を破滅に導く何者かに対し、反逆する阿修羅王とシッタータ、そしてアトランティスのオリオナエ(=プラトン)という図式になりそうですが、そう単純でもありません。


 ベースとなっているのは仏教で、それにキリスト教や古代神話や哲学が絡んできますが、後半になると最先端科学・宇宙論も加わってきます。


 最大の主役ともいうべき阿修羅王は、興福寺の阿修羅像を参考にデザインされたそうで、美しくも苛烈です。


 これほどのスケールのSFは、そうそうないと思います。それを可視化した萩尾先生もまた、驚異的な達人といえるでしょう。



※「完全版」の表紙絵の画像を近況ノートに貼り付けておきます。


     ↓

https://kakuyomu.jp/users/windrain/news/16817330652701614214




●本日の猫

 ハチコと5匹の子猫たち(もうだいぶ大きいですが)の部屋に行くと、ハチコだけが私から離れません。隙あらば私の顔を舐めようとします。


 ほかの子猫たちは勝手に遊んでいます。猫用こたつから顔だけ出して、私の様子をうかがっているやつもいます。

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