トラブルメーカー①
「ノアったら、どこに行っちゃったのかしら⋯⋯」
屋敷のメイドにノアの居場所を聞いたマリアンヌは、アスモデウスを連れて彼を探しに街までやって来ていた。
すると、マリアンヌは彼を探すうちに、石畳が敷き詰められた広場で何やらガヤガヤと騒がしい一角を見つける。
耳を澄ますと、複数人の女性が言い争う声と、それを困った様に宥める男性の声が聞こえてきた。
(この声は⋯⋯もしかして⋯⋯⋯⋯ノア?)
マリアンヌは聞き覚えのある声にピタリとその場で立ち止まる。
アスモデウスも騒ぎの中心にいるのがノアだということに気付いたようで、マリアンヌの背中をグイグイと押した。
「ご主人さまっ、ノアに接近するチャンスだよ! 彼を助けてあげて!」
「え⋯⋯ええ!? あの中に私が入っていくの!?」
しかし、極力目立ちたくないマリアンヌは、アスモデウスの言葉に難色を示した。
「も〜っ! そんなことじゃ、ノアの攻略なんて夢のまた夢だよっ!? いままでご主人さまがやってきたこと、ぜ〜んぶオリヴァーくんの為なんでしょ? ここで辞めたら全て水の泡になっちゃうと思うけどなぁ〜⋯⋯」
アスモデウスがオリヴァーの名前を出した途端、それまで躊躇していたマリアンヌがピクリと眉を上げて反応する。
(アスモデウスったら、あの子の名前を出すのは狡いわ! でも、これがオリヴァーを守ることにも繋がるのよね⋯⋯気が進まないけれど、仕方ない⋯⋯覚悟を決めるのよ、マリアンヌ⋯⋯!!)
マリアンヌは自身を奮い立たせるために、パチンと両頬を叩いた。そして、隣でそのようすを見守っていたアスモデウスに声をかける。
「分かったわ⋯⋯。アスモデウス、サポートよろしくね」
「もっちろん! 僕に任せてっ!」
パチンと可愛らしくウインクをきめるアスモデウスとともに、マリアンヌは騒ぎの中心へと急ぎ足で向かうのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます