偵察①
翌日、オリヴァーの家庭教師が来る時間を見計らい、マリアンヌとサタン、アスモデウスの3人はマリアンヌの部屋で作戦会議をしていた。
「————ということがあって、アスモデウスを召喚したのよ」
「う~ん⋯⋯人間の考えることって時に、僕たちよりも残酷だねぇ」
マリアンヌによって事のあらましを聞いたアスモデウスは、難しい顔をして顎に手を当てながら言った。
「それに関しては珍しくお前と同意見だ。だが、こういったことはお前の専門分野だろう?」
「もっちろん! この色欲を司る悪魔、アスモデウスにお任せあれっ!!」
「た、頼もしいわ、アスモデウス⋯⋯!」
えっへんと腰に手を当てて得意げな様子のアスモデウスを見たマリアンヌは、些か不安に思いつつも小さく拍手を送った。
「————それで、私は先ず何をすれば良いのかしら?」
「う〜ん⋯⋯じゃあ先ずは、僕をターゲットの2人に合わせて欲しいな。2人が現状、どのくらいご主人さまに好意を持ってるのか知らないと、最適な攻略方法をアドバイス出来ないからねっ!」
「⋯⋯⋯⋯分かったわ」
マリアンヌは自分からセオとノアに接触するのには気が進まなかったが、目的のためならとやむを得ず了承したのだった。
✳︎✳︎✳︎
アスモデウスの希望通り、2人は早速ターゲットの偵察に向かった。因みに、サタンはマリアンヌの部屋でひとり留守番中だ。
「あれが、1人目のターゲットのセオよ」
書庫へと入ろうとするセオの後ろ姿を見つけたマリアンヌは、隣にいるアスモデウスに聞こえる程度の小声で囁く。
「ふぅん、アレが⋯⋯。ちょっと地味だけど、顔はまあまあ悪くないね」
「⋯⋯⋯⋯そうかしら?」
「じゃあ、ご主人さまっ。早速セオに話しかけて! ほら、早く早くっ」
「⋯⋯え、ええ⋯⋯分かったわ」
(気が進まないけど⋯⋯これもオリヴァーの為よ⋯⋯!)
急かすアスモデウスに返事をしてからマリアンヌは自らを奮い立たせる為にギュッと拳を握りしめ、セオに接触するために一歩前へと出る。
「セ、セオ! ⋯⋯奇遇ね。こんなところで何をしているの?」
「⋯⋯っ! ね、義姉さん」
マリアンヌがぎこちなくも声をかけると、セオはビクッと大きく肩を揺らして振り返った。
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