BIG BOY(※残酷描写あり)
これから「前世」の話をしよう 〈前編〉
こんにちは!
アンゴルモアこと、安藤モアだぞ!
今回と次回とで読者が一番気になっているであろう『前世』の話をダイジェストでまとめるぞ!
よろしく頼む!
『Zero-Sum Game supported by TGX』のネタバレにはなってしまうが、我の視点で振り返ることでまた違った読み方ができるやもしれぬ。
前世の話をするので、セルフレイティングは『残酷描写あり』とさせてもらう。
前世というだけあって、我は死ぬのでな。
苦手な人は読み飛ばしてもらっても構わないぞ。
ん? 『宇宙人は死ぬのか』って?
死んだよ。死んだ死んだ。肉体は冷え切って、ピクリとも動かせなくなった。酸素が行き渡らなくなって、筋肉は固まってしまう。
我は人間の〝安藤もあ〟として、あるいは一人の女として、タクミと幸せ家族計画をしたかったのだがなあ。
前説はこのぐらいにしておくぞ!
***
「ユニぃ」
タクミは恍惚とした表情でユニの胸を貪っている。
研究室、ユニの部屋。
ユニが寝泊まりできるぐらいのソファーの上。
扉を隔てた隣には、誰もいない。
普段はユニの研究室に所属している学生たちがいるというのに。
「やだ……やだよぉ……!」
ユニは抵抗を試みてはいるものの、金縛りにあったように両手両足が動かせない。
されるがままに服を剥ぎ取られていく。
「いいじゃん。練習だと思ってさ」
「うぅ……!」
にしても本当に嫌そうな顔してるなあユニ。
これだけタクミが嫌がられていると、なんだか我まで悲しくなってくる。
我はタクミのことを愛しているからな。
「
「どうせ帰ってこないでしょ」
***
いやいやいや!
ちょっと待った!
ここではなかろうて!
はー、びっくりした。
もう!
なんで濡れ場からスタートなのだ!?
つい見入ってしまったが、見せたいものは違うのだぞ!
違うぞ!
違うからな!
……うーん、この機械、地球に着くまでに壊れたかな?
コズミック通販にお問い合わせしよう。
クーリングオフだぞ!
着払いで送り返す!
こほんこほん。
改めて言うが、これは前世の記憶だぞ。
今回のタクミがこんな強姦まがいのことをするわけがない!
そうは思わないか?
もしなんらかの間違いが起こりそうでも我は全身全霊で止めるから安心してほしい。
ユニの貞操も守っていくぞ。もちろんだとも。
今回のユニは『人を操る怪電波』を発するスマホを所持している。
我も驚いたが、どうやら前世と辿ってきた運命が異なっているらしい。
タクミも前世では人類の滅亡に乗り気であったのにな。
今回、細かいところで差異があるのだよ。
我も慣れていかねば、うっかり口を滑らせそうになる。
また『変なことを言っている』と思われてしまうな。
ユニには
高校時代に飛び降り自殺してしまった幼馴染。
表向きには死んだことになっている。
ただし、ユニによれば『Transport Gaming Xanadu』というMMORPGに魂が幽閉されていると。
前世のユニは一色京壱と再会するために何もかもを、自分の人生をかなぐり捨てて愛のために費やす女だった。
我は〝コズミックパワー〟により、亡くなった一色京壱と会わせようとしていたのだぞ。
今回のユニに一色京壱の件を訊ねれば「京壱くんのことは諦めたよーん」と言われてしまって、我は拍子抜けしたものだ。
あっけらかんとしていた。
あれだけの執念は、どこに捨ててしまったのだろう?
しかしユニの心の声を聞いても、一色京壱の影はない。
今の人生を謳歌している。
それでいい。不思議には思うが、今の姿のほうが魅力的だぞ!
可愛くて才能に満ちあふれた
ユニの『対宇宙人用催眠アプリ』開発に我は付き合わされているのだが、タクミと違っておぼろげながらも前世の記憶があるらしい。
一晩中犯され続けた経験が蘇って「寒気がしますわよん」と震えていた。
なんでも院試の書類で
周囲に「この子をどうして?」と質問責めにあって泣く泣く通し、本人を前にして「やっぱりこいつじゃーん!」と。
退学にするにも正当な理由がないと嘆いていた。
タクミを退学にされたら「我がユニの元に通う義理はないぞ!」と言うとユニは「むぅ」と口籠る。
今回の我がユニに協力する理由は二つあって、一つは『前世の贖罪』とでも言っておこうか。人類の滅亡に、ユニを巻き込んでしまった。
もう一つは『人類が恐怖の大王に対抗するための秘密兵器を作成するため』だぞ!
現存する兵器では恐怖の大王に立ち向かえないのでな。タクミは読みが甘いなあ。もし十二分に戦えるのであれば、前世でも滅亡せずに済んだろうに。
ユニの開発した対人間用の『催眠アプリ』が強化されて、我を含む宇宙人に効くようになるといい。
ああ、そうそう。
我は人間の心の声が聞けるのだぞ。すごいだろう。これもまた〝コズミックパワー〟であるぞ。ふんふん♪
人の姿を見たものに変えられる以外は触手を伸ばせたり、指定の場所に移動したりできる。
タクミにはごく稀に怪しまれているが、バレることはないと思う。
うまいこと会話を合わせていきたい。
そうでないとタクミから怖がられてしまうからな。
可哀想なタクミは、本当はとっても臆病な子なのだ。
失敗すれば頭ごなしに怒られると知って、外面で〝良い子〟を演じ続けていた結果で
精一杯強がっているけども、内心でずっと怯えている。
人の顔色をビクビクと震えながら見て、話しても大丈夫そうな人にしか心を開かない。
我とは向き合ってほしかったな。前世のことを悔やんでも仕方ないのだけど、そのぶん、今回はうまくいっている。今のところは。
不忍池で義理の妹の幻を見てしまったようだが、我には最初からシラサギに見えていた。
参宮一二三。
タクミが『ひいちゃん』と呼ぶ彼女を、我は超えなければならない。
あのちびっ子はタクミの精神を蝕み続ける害悪なのだから。
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