アネモネの苦悩
恋なんて、馬鹿がするものだとばかり思っていた。
だって恋は非合理的だ。相手の一挙一動に一喜一憂し、その場その場の感情に揺さぶられて振り回される。そんな刹那的な感情に支配されるなど真っ平御免だ。
自分の思考はあくまで自分自身が主であるべきだ。
そんな風に思えていた頃が懐かしい。
気付いた時には俺はすっかりと恋に溺れ、もう逃れられないところまで来てしまっていた。
初めのうちは何かの間違いだと思っていた。
あいつが視界に入るだけでペースが乱される。
なぜかイライラして集中できない。
笑顔で誰かと話していると無性に腹が立つ。
それは、ヘラヘラしたふざけたヤツだから、気に入らないのだと思っていた。
俺はなんて馬鹿だったんだろう。
真っ直ぐな瞳に見つめられると脈が早くなり思考がまとまらなくなる。そのくせ、不思議と胸が温まり心が穏やかになって……
そして、姿が見えないとなぜか不安か込み上げてくる。
俺にとって理解不能なこれらの現象は、全て「恋」の一言でカタが付いてしまうものだったのだ。
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