安堵のための生贄
え? あたし達にもう戦うなって?
そうすれば平和になる?
本気でそう思ってるんですか?
あたし達が奪われた故郷を諦めて、おとなしく生命を差し出せば、平和で素晴らしい世界になると?
え? そんなこと言ってない?
領土なんか要らないだろう?
全部あげちゃえよ、尊い世界平和には替えられないんだから。
ただそう言ってるだけだって?
やっぱり言ってるじゃないですか。
あたしたちの国なんてこの世に存在しない、あたし達の民族なんてこの地上に存在しない。そう言ってるひと達の言いなりになって、何もかもあきらめろって。
お前たちは自分たちの思い描く「美しい世界平和」のために皆殺しにされろって。
え? そんなはずはない?
何言ってるんですか。
あのひと達、演説で臆面もなく公言してますよ。どこの国でも報道されてます。
そんなの知らない?
ただ単にあなたが知ろうとしないだけ。
無関心なのは仕方ない。無知なのも仕方ない。
でも、自分の言葉の意味も考えずに、自分の安心のためだけに他人に犠牲を強制するのは傲慢じゃありませんか?
次は貴方たちの番とも知らずに。
※
「今すぐ無条件降伏しないから戦争が終わらないんだ。そんなに戦争したいなら皆殺しにされろ」
ほぼこのような内容のポエムもどきを表紙にしたとある通販雑誌が炎上したのはもう何か月も前ですが、いまだにこういった言説が後を絶たない……
どころか、日ごろは国際情勢などにまったく興味を持たないくせに「意識高い」発言だけは多い方々を中心に増えてすらいるように感じます。
無条件降伏論を唱える人は、新聞やニュースを見て自分の発言の意味を考えて頂きたい。降伏を求めている国が何を主張しているのか。過去にその国に降伏した国がその後どんな目に遭ったのか。
侵略国への支持表明や民族浄化の容認は虐殺への加担です。
侵略戦争の次の標的は日本かも知れませんよ?
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