獄炎の白雪姫
ある冬のさなかの事でした。
雪深い国のお后様が黒檀の枠のある窓辺に座って刺繍をしておりますと、針を指に刺してしまわれました。すると、真っ白な雪に紅い血が飛び散り、たいそう美しく見えたではありませんか。
お后様はこう願いました。
「ああ、雪のように白く、黒檀のように黒く、血のように紅い女の子が欲しいわ」
間もなくお后様は身篭って、美しい女の子を産みました。雪のように白い肌に黒檀のように黒い髪、そして血のように紅い唇の女の子を。
でも、お后様が産み落とした女の子は一人ではなかったのです。そして、双子の出産に耐えられなかったお后様は、そのまま沢山の血を流して亡くなられてしまいました。
王様はとてもお怒りになりました。そして、即座に二人目の赤子を始末せよとお命じになったのです。
「なりません。お后様が命懸けでお産みになった姫君ですぞ」
大臣がお諌めしても、王様は聞く耳を持ちません。
「うるさい!こいつが腹を食い破ったせいで后は…その証拠にこいつの髪を見ろ!」
そう、二人目の赤子は、髪まで血のように紅かったのです。結局、二人目の赤子は森に置き去りにされることになりました。
棄てられた赤子は森に隠れ住む暗殺者に拾われて育てられました。そして育ての親にあらゆる知識と技術を与えられ、紅玉のように美しい娘へと成長したのです。
え? その娘がその後どうなったかって?
それはまた、別のお話です。
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