九ノ巻~姫巫女の遣いの進化~
金ヶ崎の戦いの前日。
長政様は朝倉に着くことに決め、私たちに話してくださった。半兵衛と戦うことになることになるし、何しろ浅井が崩壊する原因となる。歴史の流れには逆らえないのか……。私はその日からずっとそう考え込んでしまっている。浅井が崩壊しなくてもいいような方法はないのか。そう思っているうちに、織田軍を朝倉と浅井で挟み撃ちにし撃退する
私は、軍師として指揮を取り、長政様と大谷さんの陣形を整え、織田軍へと攻めるが……織田信長の姿は見えなかった。信長は浅井の存在に気付いたのか撤退していた。
しかし、タイミングがいいのか悪いのか
すると、大谷さんが蝶の式神を出して私を助けてくれた。
「油断するな。俺も見たことのない姫巫女の遣いだ」
「新種ですね……ややこしい」
「あぁ」
「大谷さん背中預けます」
「わかった」
私は大谷さんと背中合わせにして、姫巫女の遣いの群れの中へと走り出した。刀を静かに鞘から抜き出し、私の周りに季節外れの桜が舞い、姫巫女の遣いに目掛けて刀を振りかざした。すると、桜は私の周りにいる姫巫女の遣いを切り刻んでいった。戦場に出ることは多いけど、こんなことは初めて。桜? この桜は何なんだろう……。そう疑問を抱きながら次々と姫巫女の遣いを切り刻んでいった。
もう何時間たったのだろうか。日は暮れ、辺りは暗い。ここまで苦戦することなんてなかったはず。でも、姫巫女の遣いを一掃したおかげなのか、夜になっても次の姫巫女の遣いは現れなくなった。嬉しいけど。今日は近くの林で野宿することになった。野宿は楽しい。狩り出来るし、夜空がきれい。一石二鳥! そう思っていると、兄上と三成、大谷さんが私に駆け寄ってきた。
「莉菜~!」
「兄上!と三成と大谷さんまで。どうしたんですか?」
「今日の戦で、あの桜は何だったんだ?」
「私にも分かりません」
「……俺たちみたいに異能が使えるようになったんじゃないか?」
「異能?」
「あぁ。莉菜の知っている戦国時代とは違うのは覚えているな?」
「えぇ」
「俺たちのこの時代は、
そういえば、姫巫女の遣いは簡単に斬れるけど、なかなか溶けないし消えない。大谷さんの式神は異能だったんだ……だからすぐ姫巫女の遣いは溶けたんだ。私のあの桜も、姫巫女の遣いを切り刻んで綺麗に消えていったし……異能には色んな効果があるんだ……。
「そうなんですね!でも、私異世界人で異能何か使ったことないですよ?」
「それは、姫巫女の効果だろう。不老不死になった貴様は、いつ異能が使えてもおかしくはなかった。不老不死も異能の一部でのあるからな」
それじゃ……あの私と似た少女から不老不死の力を授かったときにはもう私は異能が使えていたんだ……。
「納得です!」
「良く頑張ったな莉菜!」
兄上は私を褒めながら頭を撫でた。
「高虎!貴様はこいつに甘過ぎる!おい莉菜!」
「なに?」
「……精々頑張れよ」
三成はそう言うと何故か顔を赤く染めた。兄上は「いやお前も人のこと言えないからな!」と三成と喧嘩をし始め、大谷さんは私の背後に回り、抱き締め私の頭に顎を乗せた。
「大谷さん……?」
「寒い」
「季節関係なく寒いんでしたっけ?」
「身体が弱いからな……」
「そうでしたね。顎乗せるのやめません?」
「楽だ」
「疲れません?」
「いいや、疲れるところか癒される」
「何が」
「教えない」
この人何なの……。ほんと不思議過ぎて……面白いな~。私はそんなことを思いながら笑うと、兄上と三成がこちらを振り向き、大谷さんに思い切り喧嘩を吹っ掛けたのであった。
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