第9話 吉凶入り乱れ!ツッパリ『凛』と真面目『凛』の日常!!(9)



「オメーら、俺に聞くのかよ?」


「ウェイウェイ♪YES!プリーズ♪プリーズ♪」


「是非ともよしなに~」


「ちょ、2人共!!」


「しゃーねぇーな~・・・言うしかないか・・・」


「え!?瑞希お兄ちゃん!?」


(まさか、知ってるの!?)



ギョッとしながら好きな人を見れば、目だけで私を見て笑う。


そして、ニコニコしながらお願いする2人に瑞希お兄ちゃんは言った。




「ナイショ。」


「「「「「「えっ!?」」」」」」


「瑞希お兄ちゃん!?」


「凛の学校のことは、初代総長権限で秘密だ!以上!」


「お・・・・お兄ちゃん・・・・!?」


(僕をかばってくれた・・・!?)



というか、その言い方だとまるで――――――――!?



「なっ・・・なんすかそれ!?まるで、『2人だけのヒ・ミ・ツ!』みたいじゃないっすかー!!?」


「ですよねぇ~!!!」



絶叫する円城寺君の言葉で、思わずにやけながらつぶやいてしまう。



〔★つぶやきにしては、ボリュームが大きい★〕



「てっ、てめぇ!?何嬉しそうに、大声で言ってやがんだ凛道テメー!?」


「ちょ~あははは!暴力はやめて下さいよぉ~円城寺く~ん?」



僕の胸ぐらをつかんでがくがくと前後にゆらす爆裂弾の頭。


痛かったけど、嬉しさが優って上手くカバーできない。



「コラコラ!じゃれ合いはそこまでだ!凛を離せ、大河!」


「じゃ、じゃれ!?んなわけないでしょう、瑞希先輩!?」


「わかったわかった。じゃあ五十嵐、凛を頼んだぞ?」



僕の胸ぐらをつかむ円城寺君の両手と、そのなげきの言葉をスルーしながら言う瑞希お兄ちゃん。



「安全運転で、凛を送ってくれよな?」


「もちろんでっせ!うはははは!」


「凛、学校頑張って来いよ?」


「はぁーい!頑張ります、瑞希お兄ちゃ~ん!」



瑞希お兄ちゃんの私への愛情たっぷりの言葉に、胸のトキメキが止まらない。




〔★残念だが、LOVEではなく、LIKEだ★〕





「それからこれ。約束の朝飯だ。」



そう言って、大きなお弁当箱を差し出す瑞希お兄ちゃん。



(瑞希お兄ちゃんからの手料理♪テンション上がるぅ~!!)


「わぁい♪ありがとうございますぅ~!!・・・って、1人分にしては多くないですか・・・?」


「五十嵐の分も入れてんだよ。凛の『足』してくれるお駄賃だ。」


「うははは!!まじでっかぁ~!?せやから瑞希はんが、す・き♪」


「キモイ声出すな。礼なら、凛を無事に送ったっていう行動で示してくれや。」


「うははは!!任せてや!わし、おかずのポテサラの恩に報いるでっ!!」


「はあ!?なんで凛にも言ってないのに、朝飯のおかずを当てれるんだよ!?」


「え!?本当に、ポテトサラダが入ってるのですか!?ヤマト、どうしてわかったんですか!?」


「うははは!!においや♪」


「「犬かよ!?」」


「ワンワーン!」



私と瑞希お兄ちゃんのツッコミに、犬の声をまねて吠えるヤマト。



〔★関西男子は、現金なモノマネ上手だ★〕



「ドンピシャであてるよな~俺の説明は不要か。」


「コラ、ヤマト!瑞希お兄ちゃんの説明会をなしにするとは何事ですか!?」


「うははは!すんませーん!!」


「気にすんな。好き嫌いせずに、残さず食えよ?」


「もちろんです!!」


「うははは!ごちになりまーす!」


「よしよし。」



愛しい人からのお言葉に即答すれば、瑞希お兄ちゃんが口元をゆるめながら微笑む。



「ちくしょう・・・!瑞希先輩の手料理を・・・凛道と関西人め・・・!!」


「凛さんと一緒に朝飯だと・・・!?」


「リンリン、今度は俺とモーニングね!?」


「わずかなニオイをかぎあてるとは・・・五十嵐殿、できる・・・!」


「はぁーすげー嗅覚だな、おい・・・。」


「俺、わかんねぇんだけど、鼻が老朽化してんのかな?」


「大丈夫だ、秀!俺もわかんねぇーもん!」



他のみんなの反応は様々だったけど―――――




「つーことで、凛!行ってよし!学校、遅れんなよ?」


「はい、瑞希お兄ちゃん♪いってきまーす!」


「おう!行ってこーい、凛!」




私に向けられる瑞希お兄ちゃんの笑顔は変わらない。


その微笑みが変わらないなら、なにも問題はない。




「また夕方にお会いしましょう、瑞希お兄ちゃん!他のみなさんも~!」


「ああ、後でな凛!」


「テメー凛道!俺らはついでか!?ひとくくりで呼ぶんじゃねぇ!瑞希先輩はそれでいいけどよ!」


「うっせーぞ、大河!凛にいちゃもんつけすぎなんだよ!凛、シカトでいいからなー!待ってるから、学校終わったらさっさと来いよー!」


「な!?だったら、俺もカンナと待ってる!2人きりにさせねぇからな!?逃げんなよ、りんどー!!」


「どんなお見送りだよ?五十嵐!凛道くんに怪我させんなよー!」


「まったくだぜ、吾妻!!五十嵐、繊細に運転しろぉ!!凛さぁぁーん!!どうか、お気をつけぇぇぇ!!!」


「リンリン、バイバーイ!後でね~!」


「我が君~いってらっしゃいませ~!」



「あはは・・・じゃあね~」




瑞希お兄ちゃん以外の言葉に、営業スマイルをキープしながら手を振る。


瑞希お兄ちゃんが、カンナさん達が・・・・好きな人が見えなくなるまで手を振った。






「うはははは!相変わらず、みんな凛が好きやねん♪やなぁー!?」


「・・・どうでしょうか?」


「うははは!そこは『そうだよぉ、ウフ♪』ちゅーとこやで!?ノリが足りんで、ノリが!!」


「大丈夫ですよ。瑞希お兄ちゃん、ちゃんとお弁当に海苔も入れてくれてるそうです。」


「うははは!ノリはノリでも、海苔ちがいやないかぁーい!!せやけど、おしかったなぁ~!瑞希はんの手料理、弁当もええねんけど、普通に朝ご飯で食べたかったわ~!」


「わかる。僕もです。」


「ほな、ユーターンして戻ろー!!」



キキッギュ―――――――――ン!



「って、コラー!?」




自然な動きでユーターンする関西男児。




〔★行き先の変更、終着点を真田瑞希にした★〕




「ダメですよ!ノーユーターン!戻らないで戻らないで!!」


「うはははは!せやろなぁー!!」



キキッギュ―――――――――ン!



私の言葉に笑いながら同意すると、再度自然な動きでユーターンする関西男児。




〔★行き先の変更、終着点を学校へ戻した★〕






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