第8話 吉凶入り乱れ!ツッパリ『凛』と真面目『凛』の日常!!(8)
「めっちゃ、のど乾いたわー!!うははは!!」
「ヤマト!?」
僕にくっついていたのは、龍星軍のメンバーの五十嵐ヤマト君。
特攻隊長の肩書にふさわしい動きで、私に抱きついてくれた。
「うははははは!!」
見た目は、頭にカチューシャ、人相のわからないサングラスをかけた元気な関西弁男子。
とてもにぎやかで、おしゃべり、声が大きくて・・・すごくにぎやか。
どれだけ、にぎやかかというと、
「うはははは!!!わしのドリンクどこー!!?秀君!!」
「うるっせぇー!!ほらよっ!!」
穏やかな秀君がブチ切れるぐらい。
「いっただきまーす!!ズズズ―――――!ごちそんさん!!」
「もう飲んだの!?早いですね!?」
〔★秒飲みだった★〕
「早すぎだろう!?運んできてやった俺への感謝もなしで、一気飲みすんなや!!」
「うはははは!!すまん、すまん、秀君やー!おかげで渇きから救われたわ!なんせ急いどったからのぉ~!!」
「これ以上、どう急ごうってんだテメーは!?」
「そらぁ~凛に決まってるやん!?うははははは!!」
「はあ!?凛君だぁ~!?」
「せや!せや!ほれ、凛!!帰るんやろう!?わしのバイク直ったから、後ろに乗り!うはははは!!」
「わっ。」
そう言うなり、僕をひょいっと摘み上げて修理が終わった単車の後ろに置くヤマト。
「「「ちょっと待ったぁー!!」」」
そんな私達を見て、可児君とちーちゃんとつなぐが声をそろえて叫ぶ。
「五十嵐、なに勝手に仕切ってやがる!?凛さんをお送りするのは俺だ!」
「ノンノンノン!リンリンをお届けするのは俺ー!!」
「ここは迅速丁寧で、ちゃんと仕事ができる俺でしょう?ねぇ、わが君~!?」
「俺が送るっ!」
「俺ぇ~!」
「俺でしょう?」
激しく自己主張してくれる仲間達。
(はっきり言って、ありがた迷惑・・・)
〔★嬉しくない親切だ★〕
目の前で繰り広げられる争い。
一緒に目撃することになった関西男子が聞いてきた。
「うはっはっはっ!どないする、りーん!?」
ヤマトの問いに、私は即答した。
「ヤマトが良いです。」
「凛さん!?」
「リンリーン!?」
「そんな、わがきみぃ~!?」
「あきらめろ、オメーら!」
「瑞希お兄ちゃん。」
3通りの呼び方で私を呼ぶ男子達に、それまで静観していた瑞希お兄ちゃんが言う。
「凛の好きなようにさせてやれ。あんましつこいと、嫌われちまうぞ?」
そう言って私をフォローしてくれる好きな人。
「凛は聞き分けのいい奴が好きだもんなー?」
「は、はい!」
さらには、プライスレス的な極上の笑顔まで向けて下さる。
もう最高~!!
「うははは!悪いのぉー!瑞希はんもこうゆーとることやから、わしでよろしくー!!」
「くっ・・・!今回は譲ってやるぜ、五十嵐・・・!」
「真田せんぱぃに免じて、引くだけだからね~ヤマトっち!?」
「いずれ必ず、下克上。」
「うはははは!!照れるのぉ~!?」
「どこに照れる要素がありますか!?」
むしろ、私の送迎をあきらめてないところが油断できない!!
〔★引き続き、警戒が必要だ★〕
「ほな、凛!帰ろうかぁ~!?うははは!」
「う、うん。」
手招きをするヤマトに従い、彼の単車であるGSX1300Rハヤブサの後ろに乗る。
「あ、待て凛道!まだどこの高校か申告しろや!」
「え、円城寺君・・・!」
あきらめてくれてない総長代行が、食い下がりながら私に接近してくる。
「それ言わねぇうちには、話は終わんねぇぞ!」
「いいや!話は、終・わ・り・だ、大河!」
「み、瑞希さん!?」
私と円城寺君の間に、瑞希お兄ちゃんが割って入る。
「急いでる凛を引き留めるな!今しなきゃいけねぇ話でもねぇだろう?」
「そ、そうっすけど~!」
「オメーら仲間だろう?だったら、言うのを待ってやれ!」
「・・・・・・・オス。」
「わかればいい。」
瑞希お兄ちゃんの言葉に、かなり不服そうに同意する円城寺君。
(瑞希お兄ちゃんが言うから従っただけで、本心から納得はしてないだろうな。)
「他の奴らもそれでいいな!?」
「そうっすね!凛さんを困らせるのは良くないっすね!」
「おう!『真田先輩』がこう言ってんだから従えよ、大河!」
「だからわかったって言ってんだろう!?がさつ女!!」
「カンナはがさつじゃねぇ!サバサバ系だぞコラ!?」
「大河の八つ当たりを本気にすんなよ、悠斗~」
手のひらがいしといえるのか・・・同意する可児君とカンナさんに、ムスッとする円城寺君。
暴言を吐いた円城寺君を怒る悠斗君を、秀君がなだめながら言った。
「そういうわけで、俺ら爆裂団は納得だから、そっちのお二人さんもわかってるよなぁ~?」
「ウェイウェイウェイ!了解了解!リンリンへの質問終了、承知系~!」
「そうですね。ボッシーへの追及はしません。」
秀君の問いに、挙手しながら答えるちーちゃんとつなぐ。
「おお、幡随院と関山は話がわかるな?」
同意する元半グレと元賞金稼ぎに、瑞希お兄ちゃんも優しく笑いかけるが――――
「ウェイース!!なので、真田せんぱぁぃに、質もーん!」
「我が君のリンリンの学校はどこですか!?」
「質問自体はやめねぇーのかよ!?」
(そうきたか・・・!)
私ではなく、瑞希お兄ちゃんに私のことを聞くとは・・・
〔★チャラオと忍者は粘り強かった★〕
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