打倒魔王! 編

第58話 新しい友

 圧倒的な強さを手に入れたロッサはいよいよ魔王ゾールに戦いを挑もうとしていた。


「やっとゾールと戦えるまでに強くなれた気がする!」


「今のロッサなら瞬殺でしょ!」


「分からないぞぉ?意外と良い勝負をするかもなぁ!」


「見ものだな。」


 そう言うロッサ達は早速魔王ゾールの元へ転移をして行った。


 魔王ゾールの元へ転移すると魔王ゾールは玉座に座って暇そうにしていた。


「早く来ないかなぁ、ロッサ。」


 目の前に居るロッサ達に気がついていない魔王ゾールは少し時間が経つと気がつき少し驚いたが平静を保ちつつ喜びながらこう言った。


「おぉ!やっと来たか!私と戦えロッサ!」


「そのつもりで来たんだよ!」


 魔王ゾールとロッサ達は戦いの被害が出ないように町から数キロ離れてる先の平野にまで飛んで行った。


「ここまでくればいいだろう!」


「これで思いっきりやれるね。」


 お互いに武器は持たない素手と素手の勝負。武器を持たないのが魔王ゾールの戦闘スタイルらしい。


「それでは行くぞ”!ロッサ!」


 そう言うと一瞬でロッサの背後をとった魔王ゾールは一発のパンチをロッサに浴びせようとしていた。するとロッサは死角からの攻撃を右手で受け止め魔王ゾールを振り飛ばした。魔王ゾールはロッサの反応に驚いていた。


「何故死角からの攻撃を見切れる!」


「それは簡単な事だよ。僕のオリジナル魔法、魔法探知の応用で魔力の動きを読みとるのさ!そうすれば目をつむったって戦えるよ。」


 魔王ゾールはニヤッと笑うと「おもしろい!」と言うと魔王ゾールはオーラを全開にさせてきた。


「ぬおおおおおおおおおおお!」


 激しいオーラの高まりで周りの地面が揺れ魔力も高まって行った全開のオーラでロッサに向かって渾身のパンチを放った。


 ロッサはあまりの速さの変化に驚いてしまってその一撃を食らってしまった。


「ぐはぁ!」


 腹に一撃を食らったロッサは俯く素振りをしつつ反撃をした。腹に入れられた拳を掴みロッサの後ろへ流れるように受け流すとその反動と同時に魔王ゾールの顔面に一発パンチを叩き込んだ。


「ぬわぁ!」


 吹き飛ぶ魔王ゾールは体勢を立て直し強くなったロッサに対して驚いていた。


「驚いたなぁ!全開の一撃を食らっても倒れないなんてなぁ。こりゃ想像以上だ!」


「僕も驚いているよ。あれを食らっても立っていられるなんてね。」


 そう言うと二人は目にも止まらぬ速さで戦い始めた。拳と拳がぶつかり合う度にその場に空間に熱い振動が鳴り響く。


 戦いの最中魔王ゾールはロッサのオーラが戦い始めた時よりも全然変わっていない事に気がついた。


「ロッサよ。お前本気で戦っていないな!手を抜いているのがバレバレだ!」


「様子を伺われながら戦うのは嫌かい?」


 そう言うとロッサはオーラを高ぶらせた。ロッサは魔王ゾールと同等ぐらいのオーラを出して魔王ゾールを驚かせた。


「おぉ。この私と同じ、いや、それ以上の力を隠し持っているな!ちくしょう!やるだけやってやる!」


 また戦闘を始めだした二人は互いの拳をぶつけ合いながら時間が進んで行った。二、三十分ぐらいの長期戦の末魔王ゾールのスタミナが切れかかっていた。それに比べるとまだまだ余裕のあるロッサは息を切らしていなかった。


「はぁはぁ。大したものだ。あれだけ私と拳を交えて息一つ上げないとはな、流石だなぁ!だが、そろそろ最後にしないとなぁ!」


 またオーラを高ぶらせる魔王ゾールは限界に近い所まで気合いを込めた。それを見たロッサも同じくオーラを高ぶらせた。


 魔王ゾールはロッサの上げたオーラを感じると「私を超えたか・・・。」と呟くと最後の一撃に向けて準備をする二人。


「さぁ!行くぞロッサ!」


「僕も行くよ!」


 それぞれ少し離れると物凄い速さでお互いに突撃をした。


 二人とも雄たけびを上げると拳と拳がお互いの顔面に当たる。少し時間が経った後に一人が空中から落ちてきた。


 落ちてきたのは・・・。


 魔王ゾールだった。


 渾身の一撃を食らった魔王ゾールはその場で気絶してしまった。魔王ゾールが気になっていたのか魔王ゾールの側近もこっそり見に来ていたらしく気絶した魔王ゾールの元に側近が駆け寄った。


「魔王様!大丈夫ですか!魔王様!」


 それに応えるように目を覚ました魔王ゾール。


「あぁ、大丈夫だ。」


 側近に肩を抱えながらロッサの方へ向かい称賛を送った。


「流石はロッサだな。よくも私を倒してくれたな。ははっ!」


「強くなれたのはマクティスさんのおかげなんだよ。」


 すると魔王ゾールは驚いていた。


「マクティスってエルフの魔王のマクティスさんか?!」


「そうだけど・・・。一応鍛えて貰って勝ったんだけど・・・。」


 魔王ゾールはそれを聞くと深いため息をした。


「そういう事か。どんな修業をしたか知らんがあのマクティスさんに鍛えて貰って勝ったのか・・・。あの人は前の魔王メンバーのナンバー2だぞ。そりゃ勝てないぜ!」


 魔王ゾールは開き直ったようにその場で寝転んだ。


「マクティスさんってやっぱりすごい人なんだなぁ。」


 それを聞いていたマナ達も驚いていた。


「前の魔王メンバーのナンバー2ですってぇ!すごい人に鍛えて貰ったわね。私達。」


「えげつないな!」


「俺らも魔王ぐらい強くならねぇとな!」


 そんな事を話していると魔王ゾールがロッサに手を伸ばしてきた。


「さぁ、手を取るのだ!これからロッサは私の真の友として関係を築こうじゃないか!」


 ロッサは魔王ゾールの手を取りそれに応える。


「改めてよろしくね。ゾール!」


 こうしてお互いに戦い合って絆を深めた魔王ゾールとロッサは魔王ゾールの城で一晩休んだのだった。


「やっと倒したよ魔王ゾール。次は天空の魔王だなぁ。」


次回へ続く・・・。

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