第46話 一騎打ち

 武舞台にロッサとマナが立っている。今まさに二人の戦いが始まろうとしていた。


「さあ!続いては第五試合目!注目のロッサ選手とマナ選手だぁ!」


 会場が湧き上がりながらもそれと同時に非難の嵐が舞い上がった。


「人間がぁ!卑怯な手を使って勝ったんだろ!さっさと退場しろぉ!」


 そんな声が上がってきたが二人はたった今行われる自分達の戦いに集中していた。ロッサがそんな中マナに話しかける。


「初めて戦うね。」


 するとマナは胸を叩きロッサに言った。


「私が勝つんだから!」


 二人はそう話していると始まりの合図があるまで会場が静まり返る。すると司会は叫んだ。


「それでは!第五試合!始め!」


 大きな音を鳴らす鐘。


 マナは先制攻撃を仕掛け特大の魔法を繰り出した。


「アイスシャワー!」


 ロッサの真上から氷の魔法が降り注ぐ。その魔法をとてつもない速さでかわすロッサ。


「流石のスピードね。」


 続いてマナは炎の魔法のサークルフレアを放つ。この魔法は相手の足元に魔法陣を展開させてそこから高威力かつ広範囲の炎攻撃を出す大技なのだ。


「これならかわせない!」


 ロッサはオリジナル防御魔法のパーフェクトガードを使い自分を球体の魔法の中に身を包んで防御した。その魔法を見てマナは少し不機嫌そうにロッサに言った。


「何よその技!」


「へへーん!隠していた防御魔法さ!」


 先程撃ち放った魔法はマナの魔力をほとんど使って放った魔法だったらしくマナは息を切らしていた。


「はぁはぁ、これならどうよ!」


 マナは右手に雷属性のサンダーランスと左手に光属性のホーリーランスを作り出すとそれを一つに合わせる。すると合成魔法のライトニンランスが出来上がったのだった。


「これで終わりよ!」


 掌から放たれるそのライトニングランスは音速にも近い速さで会場を揺らしながらロッサに襲い掛かる。


 しかしロッサは右手を出すとその威力を殺すように闇魔法のダークホールを小さく掌の前に作り出すと飛んできたライトニングランスを吸収した。それを見たマナは非常に驚いていた。


「う、嘘でしょ・・・効かないなんて。」


 そう言うとロッサはマナに言った。


「今度は僕の番だよ。」


 ロッサは構えると近接戦闘をマナに仕掛けようとしていた。マナはすぐさま短剣に手を取ろうとするが遅かったのだった。猛烈な速さでマナの目の前に移動したロッサはマナの腕をつかみ武舞台の外まで投げ技を行ってマナの場外負けを狙った。マナはロッサの記憶上では風魔法事態使えないので空を飛ぶことが出来ずこのままでは武舞台から落ちてしまい負けてしまうのだったのだが。飛ばされてるマナはこう叫んだ。


「こんなところで負けてたまるもんですか!」


 するとマナから風魔法のオーラが舞い上がった。なんと、風魔法で空中を飛んだのである。


「いつの間に風魔法を?!」


 そんな風に驚いているロッサにマナは言った。


「私だっていつまでも立ち止まっていられないのよ!」


 マナは最後の力を振り絞り超特大の炎魔法、蒼炎弾そうえんだんを放った。ロッサはその最大威力の魔法に応えるようにロッサも炎魔法の黒炎弾こくえんだんを放った。二つの炎魔法はぶつかり合うと周りを火の渦に巻き込みかねない規模の衝突だった。


 だが、さすがにロッサの魔力の方が上回っていてマナの炎魔法の色は蒼い炎。それに対してロッサは炎魔法の中でも上級の黒色の炎魔法を放ち応戦している。強さ的にもロッサの炎魔法の方が威力は段違いだった。


「うぐぐっ。」


 最後まで耐えるマナだったがついにマナの手元までロッサの黒炎弾こくえんだんは迫って来ていた。


「負けるかあぁぁぁぁぁぁぁ!」


 蒼炎弾そうえんだんを一瞬だが黒炎弾こくえんだんにしたマナはその瞬間激しい爆発が起きて武舞台の外へ落ちてしまった。激しい攻防が行われた後司会者がたじろぎながら勝者の名前を叫ぶ。


「あっ、あ。だ、第五試合!勝者はロッサ選手!」


 観衆はあまりにも激しい魔法のぶつかり合いで気を失う者もいれば唖然としている者、失禁しているしている者もいた。それぐらい激しいぶつかり合いだったのだ。


「今回は僕の勝ちだね。」


 マナは悔しそうだが魔力を使い切ったらしくへとへとで疲れ切りながら言った。


「そ、そうね。」


 そう言うとマナはその場で気を失った。


 すると奥からグローリがやって来て傷が癒えたのだろうか元気に走ってきてマナを担ぎまた奥に引っ込んで行った。


「さあ、次の相手は多分あの剣豪だな。」


 アリッサには申し訳ないがアリッサが剣豪に勝てる気配は全くしなかったのだ。ロッサはアリッサにそれを言うとアリッサはこう言った。


「分かっている。できるだけ相手の手数をロッサに見せるのに尽力する。見ていてくれ!」


 アリッサは剣豪に挑むのであった。


「第六試合!匿名選手対アリッサ選手!始め!」


 アリッサは弓使いなので間合いを取り魔法の矢を発射する。


「ストーカーショット!」


 相手を見失うか当たるまで追従する弓の攻撃を放った。


「これで相手の動きを見る!」


「見る時間があるのかね?」


 アリッサはハッとした瞬間剣豪が懐に入り込んできており腹に一撃食らいその場に倒れた。それを見た観衆は騒いでいた。


「うおぉぉぉぉぉぉぉ!流石だ!」


 アリッサはほとんど何もできずにやられてしまったのである。アリッサは待合室に戻ってくるとロッサに謝っていた。


「すまない。私としたことが太刀打ちできなかった。」


 アリッサは本当に悔しそうだ。無理もない、一年間の修行をここで発揮できなかったのだから。ロッサはその思いも受け継ぎ決勝戦へと望むのであった。ロッサの次の相手は名もなき魚人の剣豪。更なる激しい戦いがロッサを待っているのか。


「頑張れロッサぁ。」


次回へ続く・・・。


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