第33話 魔王の話
魔人の元へ飛び立ったロッサ達は魔人の目の間に降り立った。
「な、なに!追って来るかと思ったがこんなに早く追いつかれるとは!」
「さぁ!デニス王を返して貰おうか!」
魔人はデニス王を盾にして言った。
「くそぉ!こいつを殺されたくなかったらそこを動くな!」
魔人が爪をデニス王の首にあてた瞬間にアリッサとロッサが動いた。
「ソニックショット!」
凄まじい速さで矢を取り出し風魔法を矢に施し矢を射った。それと同時に拳で魔人の懐に入りこむロッサ。するとアリッサの矢が頭に命中して魔人が怯んだ隙にロッサがデニス王を回収した。
「なんというコンビネーションだ!これは危ないな。退散しよう。」
魔人は翼を広げ逃げ出そうとしたがマナがそれを許さなかった。
「逃がさないわよ!アイスロックランス!」
巨大な氷の槍の魔法を飛ばして魔人の体を貫いた。
「ぐはぁ!やはり魔王様にとって脅威になる存在・・・。」
その場に倒れた魔人は塵のように散っていった。
「また魔王か・・・。関わりたくないけど、なんか平和的に解決できないかな。」
そんな事を話していたら頭の中に声が響いてきた。
「私の手下をよくも倒してくれたな。勇者よ!」
ロッサは謎の声に反論する。
「だ、誰だ!僕は勇者なんかじゃないぞ!」
「ふっふっふ。その力。神に恩恵を受けたのではないか?おっと、名乗り遅れたな。私の名前はゾール。魔王だ。」
ゾールと名乗った魔王が話しかけてきたのだった。そんな魔王にマナは少しツッコむように言った。
「な、なんですってぇ!魔王自ら話しかけてきたわ!」
続いてグローリが言う。
「なんという声の太さだ!」
すかさずアリッサにツッコまれる。
「そこ?」
魔王ゾールはロッサ達が魔王からの通信に怯えていると勘違いをし少し嬉しそうにこう言った。
「そこまで怯えなくても良い!魔王と言っても私は三番目に強い魔王だからな。他の魔王と比べても大したものではない!」
ここでロッサは魔王は一人じゃないことを知った。
「魔王って一人じゃないんだなのかぁ。ていうか前々から僕達にちょっかい出してきたのはお前の仕業か!」
すると魔王ゾールは言った。
「そうだ!ちとお遊び感覚で手下を派遣していたが本格的に面白くなってきたのでな。ちなみに命令はお主の邪魔をしろとしか言っておらぬ。我が手下の行動は自らの思考で行動しておる。」
それを聞いたロッサ以外の三人は呆れながら言った。
「だとしたら最低な部下たちね。」
「いい趣味とは言えんな・・・。」
「俺が言うのもなんだがもうちょっとなんとかならねぇか?」
そう言われた魔王ゾールは笑いながら答えた。
「はっはっは!検討しよう!そういえば先程から私は面白くなってきたと言ったな?今度私自らそっちに出向くのでな楽しみに待っていろよ!その間手下共に貴様達の邪魔はさせないように命令をしておくでな!安心するが良いぞ!」
そう言うと魔王ゾールは一方的に会話を終わらせ通信を遮断した。
「ちょっまっ・・・。」
ロッサの声は届かなかった。
ロッサ達は魔王ゾールと会話を終わらせた後デニス王をデリオールの城へ空間転移を使って届けた。
城へ戻るとアリスが駆け寄ってきた。
「おぉ!よくぞ戻ってきたのだ!父上は無事か?」
「大丈夫。気絶させられているだけだよ。」
アリスはそれを聞くと安心していた。
「良かったぁ・・・。」
するとカイラ王妃が走ってやってきてデニス王の元へ駆け寄って言った。
「あなた!ねぇ、あなた起きて!」
「うーーん。むにゃむにゃ。腹がいっぱいだぁ・・・!」
それを聞くとカイラ王妃は笑いながらこう言った。
「あら、この人ったら自分が攫われていたのにこんな事を言っているわ。ふふっ。」
「無事に助けられてよかった。」
ロッサはそう言いながらデニス王をベッドに寝かせた後カイラ王妃から謝礼金を沢山貰った。するとグローリが言った。
「最近俺達の金回りがいいんじゃねぇの?」
「まぁいろんな人を助けてるからね。」
カイラ王妃はロッサ達の会話を聞きながらこう言ってきた。
「ふふっ。今度困ったことがあったら私達に言って下さいね。できる限りの事はしますから。」
ロッサ達はまたもや一つの国に恩を売ってしまったのである。そんな状況にマナとアリッサが言った。
「私達にも強い味方が増えていくわね!」
「うむ。心強い!」
するとカイラ王妃がロッサ達の旅の手助けになる事を言ってきたのだった。
「あなた達は旅をしているんでしたわよね?だとするとこの国から出ると当分何も無い場所が続きます。広い平野が一面に広がっていて大変なので次の目的地へ行く際は大量に食量を買っておくと良いでしょう。私共でも食料を持たせますが念のために、ね?」
ロッサは感謝すると今夜も城に泊まらせてくれるという事なので泊まった。
次の日の朝。案の定またマナがロッサの隣に忍び込んでいてロッサは少し困った顔をしたがロッサ自身悪い気はしないので何事も無かったかのようにマナをそっと起こしてあげた。
そして旅立つ時。大量の食糧を買った後デニス王からも沢山の食糧を持たせてくれた。
「それではな気を付けて行ってくるのだ!」
「また逢う日までしばしの別れじゃ。世話になったの。」
アリスととデニス王が見送りに来てくれていた。そんな二人にロッサは挨拶をして出発しようとしていた。
「それでは、また!」
アリス達に別れを告げるとまた旅立つロッサ達。果てなき平野を無事走破する事が出来るのか。
「なんかありそうだなぁ。」
次回へ続く・・・・。
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