第32話 国王危うし!
城へ戻って行ったロッサ達はすぐさまデニス王の元へ急いだ。するとデニス王はとてつもない腹の痛みで倒れたのだという。
「はっはっは!心配をかけたな!ただの胃痛じゃ!イタタ。」
まだ痛いのか腹を押さえるデニス王。その姿を見たグローリが言った。
「こりゃ相当痛いんだろうなぁ。」
「ただの胃痛でこんなに騒いでたらもっと大変な時どうなっちゃうのよ!」
「まぁまぁ、胃痛だけで良かったじゃないか。」
マナは怒っていたがアリッサに宥められていた。
「おーー!イタタタタタタタ!」
また更に痛みが襲ってきたようで痛み出したデニス王。それを見兼ねたロッサは今持っている薬草で胃薬を調合をできないか試してみた。黄色い薬草と青い薬草をすり潰し合わせみたところロッサの予想では胃腸に良く効くイイ感じの胃腸薬が出来たと胸を張っていた。魔法鑑定では胃薬として超効能と記されていた。
「よし!これでいいはず!デニス様!飲んでみてください!」
薬を渡そうとすると近くに居た兵士に止められた。
「国王様に変な物を飲ませるな!毒かもしれん!」
「大丈夫だ。ロッサはそんな危ない事せんよ。」
そう言うとロッサから胃薬を受け取り早速飲んでみると数分で胃腸全体に薬が行き届き痛みが和らいだという。
「こ、これはすごい!」
デニス王はすぐ痛みが治まったことをアリスと共に喜んでいた。するとデニス王はこの胃薬をデリオールで売ってみないかと提案してきた。だがロッサ達は冒険者であり旅人でもある。薬草を採取して調合しそれを売る薬屋ではないのである。デリオールに留まるわけにはいかないのでデニス王に薬の調合レシピを教えた。
「よし!ではこのレシピで売り出そう!我と同じ思いをしなくても良いように国に流通させるのだ!」
デニス王は早速冒険者ギルドに国からの依頼として貼り出すという。その行動の速さにロッサは呟いた。
「こ、行動が早いなぁ・・・。」
アリスが自慢げに自分の父親を褒めたようで褒めなかった。
「それが父上の良い所でもあり悪い所でもあるのだ!」
するとデニス王が出て言った途端扉の向こうで叫び声がした。
「うわぁぁぁぁぁ!」
恐らくデニス王の声だろう。突然の事に驚きながら部屋を出るロッサ達は目の前に牛の様な角と黒い体で翼の生えた悪魔のような姿をした魔人がデニス王を捕らえ今から連れ去ろうとしていた。すぐさまロッサは魔人の元へ駆け出しアリッサは弓を構える。だがしかし、魔人の方から閃光のような光が放たれ目を使えなくされた。
「く、くそう!」
「これじゃあ何にも見えないわよ!」
「父上ぇぇぇぇぇぇ!」
間もなくして目を開けられるようになったロッサ達の目の前には魔人とデニス王の姿は無かった。
「うぅ。父上・・・。」
今にも泣きだしそうなアリスにロッサは言った。
「大丈夫!これからデニス様を助けに行く!幸いまだ遠くには行っていないみたいだ!」
するとアリスは自分も行くと言い出したのだがそこにアリスの母である王妃のカイラ様がやってきてアリスに言った。
「ここはロッサ様達に任せておきましょう。あなたは時期女王なのですから命の危機が晒されるのは私が許しません。」
「はい・・・。母上・・・。」
しゅんとするアリスだった。
ロッサの魔法探知によると近くに廃村がありその廃村に隠れ潜んでいるようだった。ロッサ達が来るのを待っているようだ。
ロッサ達は「行ってきます!」と言い魔人の後を追う。
「父上をよろしく頼んだのだ!」
「任せなさい!帰ってきたらまたいっぱいご飯食べさせてよね!」
ロッサ達は空間転移で魔人の元へ一瞬にして飛び立ったのだった。
「デニス王は騒がしい人だなぁ。」
次回へ続く・・・。
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