第25話 エルフの企み
転移門で天空に飛ばされたロッサ達は腰を抜かして笑っていた。
「はっはっははは!」
そんな風にして笑っていると背後から人の視線を感じたロッサ。背後を見るとなんとそこには長い耳をした伝説上の種族だと思われているエルフがそこにはいた。するとそのエルフはロッサ達がまるでここに来るのを分かっていたかのように話し始めた。
「ようこそ。ロッサ様。グローリ様。マナ様。ロウガ様。」
何故かマロンの名前だけ呼ばれなかったのでマロンが少し怒りながら言った。
「ぼ、ぼくはぁ?!」
「どんまい!」
ロッサはそう言うとなぜ自分達がここにいることを知っている様子なのか尋ねてみた。するとエルフは言った。
「それはですね。エルフの集落に度々襲って来るドラゴンが最近やって来なくなったのが気になりましてね。地上を探ってみましたらなんとあなた達が倒していたじゃありませんか。あのドラゴンを倒すとは中々面白いと思いましてあなた達の動向を少し見させてもらっていましたのでここにいることが分かりました。」
そう説明をした後申し遅れたと名前を名乗ってきた。
「私の名前はキアム。エルフの集落の族長です。」
ロッサはキアムに挨拶をする。
「キアムさんか。よろしくお願いします!」
すると隣でグローリがしみじみしながらキアムを眺めていた。
「エ、エルフがいたんだなぁ・・・。」
そう言うグローリにマナは何故かキアムと張り合うように言ってきた。
「私と同じくらい珍しいわよ!」
堂々と胸を張るマナだったがキアムにツッコまれるマナ。
「ヴァンパイアは世界に数千はいますよ。私達エルフはこの天空に数百しか存在していません。数で言う珍しさなら私達エルフの方が珍しいですよ。」
マナはキアムに完膚なきまで論破されたのであった。
「う、うぐ。」
するとキアム達が住んでいるという集落に行くと快く向かい入れてくれてもうすぐ夜になるからと温泉がある場所に連れて行ってくれた。するとキアムが言った。
「さあここで疲れを癒すといいですよ。そしたら食事を振る舞おう。」
ちゃんと男湯と女湯に分かれていてそれぞれ温泉に入ったロッサ達はエルフの集落に疑問を抱いていた。
「なんかなぁ。集落の皆が素直に僕達を受け入れてくれるのが変な感じなんだよなぁ。」
グローリが続けて言う。
「人間自体ここに来たことあるのかなぁ?俺達は初めての人間なのかぁ?」
壁越しにマナが意見する。
「なんか臭うのよねぇ。ちょっと警戒しなきゃならないわ!」
そう言いつつ温泉で疲れ果てた体を癒して呆けた顔をしているロッサ達であったが温泉から上がるとすぐ食事が出来るように大きいテーブルに料理が並べられていた。肉は無く質素であるがヘルシーそうで中々体に良さそうな見た目の料理であった。ロッサはエルフに悪いと思いつつ一応目の前の料理に魔法鑑定をしてみた。
「エルフ達には悪いけど魔法鑑定させてもらうよ。」
魔法鑑定をしてみた所特に異常はないと見ていたその時。たった今出された水の中に毒が仕込まれていたのを見破ったロッサは水を飲もうとするグローリを止めた。
「グローリ!待って!」
するとグローリは驚いてしまったのかグラスを落として割ってしまった。ロッサは魔法鑑定の結果を空中に映し出しキアムに問い詰めた。
「族長!これはどういう事ですか?!水に毒が入っていたんですが・・・。」
するとキアムは手を叩きながらロッサ達に言った。
「流石ロッサ様お見事です。このような初歩的な手段では死んで下さらないようだですね。」
そう言うとキアムは指を高く上げパチンと指を鳴らした。すると円を描くようにロッサ達は囲まれた。
隣で隠れて料理を食べて頬が膨らんでいるマナがいきなりの出来事に動揺していた。
「何よ!なんなのよ!どうゆう状況よこれぇぇぇ!」
マナが隣で騒いでるのを気にしないで話をつづけたロッサ。
「何故僕達が死ななきゃならないんですか!族長!」
「それはですねぇ。あなた達が魔王様にとって邪魔な存在だからですよ!」
するといきなりキアムが豹変しながら言った。
「私達エルフは人間と離れるために天空に身を隠したぁ!人間ごとき下等生物にこれ以上自然を壊されてたまるかぁ!私達はぁ!人間から自然を守るために魔王様と手を組んだのだぁ!」
キアムが本性を現すと周りのエルフ達の体がどんどん黒く変化していった。それを見るとマナがこう言った。
「ダークエルフって所かしら。」
ダークエルフとは普通のエルフが邪悪な魔力を見に宿すことで生まれる普通のエルフより強い存在である。キアムがロッサ達を囲んでいるエルフ達に号令をかける。
「さぁ!魔王様の邪魔になる存在を消せ!」
一斉に襲い掛かってくるダークエルフ達。ロッサ達は生き残ることができるのだろうか。
「魔王と手を組んだんだぁ。へー。」
次回へ続く・・・。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます