第22話 里への襲撃
里の方が騒がしくすぐさま里に戻っていったロッサ達。すると里の中は荒れ果て家は焼かれ周辺にいる鬼達は酷く傷ついていた。その光景を見たロッサが言った。
「だ、誰がこんな事を・・・。」
近くに倒れていた鬼が教えてくれた。
「オーガの仕業だ。数年に一度里にやって来ては食料や金なんかをかっさらって行こうとするんだ。オーガたちは凶暴で話をしようともしない。逆らった奴は殺されるんだ!白鬼(はっき)様やクロ婆達のおかげで何度を退けてきたが今回は子供を人質に取られ酷い渋滞に・・・。」
その鬼はそう言うと指さす方向に色々な刺し傷で血だらけの白鬼とクロ婆がそこにはいた。ロッサは怒りが爆発しそうになったが堪えすぐさま自分の持っている回復薬を白鬼達の体にかけて傷を癒した。
「これで傷は癒えた。あとは意識が戻るのを待つしかない。」
するとものの数秒で白鬼が目を覚まして言った。
「く、くそ!子供達を人質に取られなければあんなオーガごとき軽く捻ってやれのじゃが・・・。」
何度も追い返してきたと言う白鬼でさえやはり人質を取られると為す術なかったのだ。ロッサは白鬼に子供達とオーガのいる場所を聞いた。
「オーガ達は今どこに?」
白鬼は答えた。
「ここから南東の洞窟に巣くっておる。そこを拠点にしてしまったらしいんじゃがお主行く気じゃな。」
するとロッサは少し興奮気味に白鬼に対して言った。
「もちろん。人質を救出したいし、何よりこんなに荒らされちゃあこっちもいい気がしないからね。」
しかしマナとグローリは怒りを露わにしながら言った。
「俺はぁぁぁぁぁぁぁ!許せねぇよおぉぉっぉぉぉぉ!」
「こんなに腹が立ったのは五十年ぶりだわ!」
三人とも怒っている。非常に怒っている。
すぐさまオーガの拠点に行こうとするロッサ達に白鬼もついて行くと言い出したがロッサは自分達に任せてくれと言い南東の方角へ魔力探知を展開して一番デカいオーガの魔力を感じたロッサは二人を連れて空間転移でその場所へ向かった。
すると空間転移をした直後目の前に大きなオーガが椅子に座ってはしゃいでいた。
「がっはっは!いやぁ!鬼どもを痛ぶるのは最高だぜ!しかもあのジジイとババアをやってやったのは最高に気持ち良かったぜなぁ!」
大きな声で話していたオーガは空間転移で突然出現したロッサ達に気付いた。
「なんだぁ?こいつら。おい!邪魔だから片付けておけ!」
ロッサは襲ってくる手下のオーガの首を居合斬りで斬り飛ばした。それを見た大きいオーガは苛立ちながら周辺の部下に言った。
「おうおう!俺様に楯突こうってのか!野郎どもやっちまえ!」
大きいオーガは高みの見物をしながら号令をしていたのでその隙を突いてロッサは一瞬にして大きいオーガの前へ潜り込み剣技を放った。
「剣技!風雷瞬斬(ふうらいしゅんざん)」
風の勢いと雷のスピードで繰り出す高速の剣撃であっという間に大きなオーガを細切れにしてしまった。すると周りにいた部下たちが慌てふためく。
「ボ、ボスが」やられちまったぁ!」
子分のオーガ達は驚き酷く混乱していたがすぐさまグローリとマナが仕掛ける。
「うおおおぉぉぉぉ!大円斬り!」
グローリは大剣をブーメランの様に投げオーガを両断する。続けてマナが魔法を唱える。
「これで終わりよ!ファイアイグニスト!」
大きな火球がオーガの残党を一瞬にして灰にする。オーガ達を片付けたマナは一言いう。
「ふぅ。これで一件落着ね!」
するとロッサはハッとして急ぎ口で言った。
「囚われた子供達は!」
洞窟内を探すとその洞窟の奥に檻の様な一角がありそこに子供達は捕らえられていた。ロッサは力づくで檻を捻じ曲げると「おまたせ!」と言うと子供達を連れて帰った。
里に帰ると里の鬼達が泣いて喜んでくれた。幸い洞窟に行く前に大量の回復薬を里に置いて行ったおかげで助かった命が沢山あったという。それを聞いたロッサは心から安心した。
「良かった。本当に。」
自分のしたことを誇りに思うロッサはもう襲ってくるオーガはいないと伝えると今宵は宴だという里の者達。しかし里はボロボロのままで宴をするのは気が引けるので里が完全に復興したら宴をしましょうとロッサは言い復興を手伝うのであった。
数週間後。
「元通りになりましたねぇ。」
ロッサはそう言うとマナがより一層綺麗になった里を見て言った。
「この里に来た時より綺麗になってない?」
実はオーガ達が貯めこんでいた金品を売り払いロッサが空間転移で売りに行き職人を呼んだりしてかなりの速さで里を復興させてしまったロッサ達。ちなみに金品を売った金の余りは無いようだ。
「まぁでも良かった!これで元通りね」
マナがそう言うとロッサが続けて言う。
「そうだね。それじゃあ僕達もそろそろこの里ともお別れかな・・・。」
グローリがロッサの言った事に賛成した。
「だな!修行も終えたし!旅を再開したいと思ってたところだぜ!」
するとその話を聞いていたであろう白鬼とクロ婆が後ろからやって来て言った。
「はっはっは!そうか、旅立つか。」
「今日はもう遅い。宴をしてから旅に出るが良いだろう。」
ロッサ達は素直に聞き入れ完全復興した里の宴に参加し楽しい夜を過ごした。
翌朝。
里の者達に見送られながら旅に出るロッサ・グローリ・マナ・ロウガ・マロン。彼らに次なる試練が近づいていることをまだ知らない。
「襲撃された時僕は白鬼の家で寝てたよ。」
次回へ続く・・・。
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