第20話 さらなる修行

 ロッサ達が修行を始めてから半年が過ぎていた。ロッサとグローリは剣術の修行。マナは魔力を底上げする修行を行っていたのだった。ロッサは白鬼(はっき)の分身百体斬り。グローリは五十体斬りをしていたのだが、半年経った今。ロッサはやっと九十九体まで連続で倒すことが出来ていた。疲れ果てているロッサは言った。


「さ、さぁ!次で最後だ!行くぞ!」


 そう言うと最後に出てきたのは白鬼の分身体ではなく白鬼自身が前に出て言った。


「最後の相手は・・・わしじゃよ。」


 唐突に出てきた白鬼に焦るロッサ。


「な、なんだってぇ!」


 ちなみにグローリは先に五十体倒しきっていたのだが最後の相手は白鬼本人では無かった。グローリは疲れでへとへとのロッサに対して言った。


「こんなに疲れてる状態でじいちゃん相手かよ!大丈夫かロッサ?!」


 息を深く吐きながら答えるロッサ。


「自身は無いけど・・・やってみるよ。」


 それを聞くと白鬼は嬉しそうに言った。


「はっはっは!その意気じゃ。さぁ!構えよ。」


 二人は間合いを探りながら息を整える。お互いの一撃で勝負は決まる。周りの環境音だけが広場に響き渡る。一瞬の速さでお互いに斬りあうロッサと白鬼。どちらが勝ったのか・・・。



 結果はロッサの勝ちだった。白鬼はロッサにみねうちされた場所を押さえながら言った。


「見事じゃ!完敗じゃ!」


 ロッサはついに、ついに百体連続斬りを成し遂げたロッサは大喜びだった。


「やっほぉぉぉぉぉい!やったぞぉぉぉぉぉぉ!」


 その場にいたグローリとロウガとマロンが祝福してくれた。


「ついにやったな!」


「さすがは主!信じておりましたぞ!」


「長かったねぇ・・・。よくやったよ。」


 皆が祝福ムードに浸っている中、白鬼が何やら準備をしていた。必要最低限の道具やらを持ちロッサとグローリに言った。


「さぁ。次ぎの修行じゃよ。山籠もりしに行くぞい!」


 ロッサとグローリはもう次の修行をするのかと二人で声を合わせて驚いた。


「もう次の修行?!」


「何を言っておるか!わしの全てを叩き込むと言ったじゃろう!甘えるな!行くぞ!」


 そう言う白鬼に二人はまた声を合わせて返事をした。


「はぁーーい・・・。」


 疲れ果てた体を動かし荷物を整えるロッサとグローリ。そして里の東にあるという山に行くのだと言う。その山の気候は普通とは少し異なっており山に登ると昼は四十度前後。夜になるとマイナス十度前後といった過酷な山で次は修行を行うという。ロッサは感が冴えわたり修行場所に小屋があるのか聞いてみた。


「山小屋ぐらいはあるよね?そんなまさか・・・。」


 すかさず白鬼は言う。


「自分達で作るんじゃぞ。」


 平然と言ってきた白鬼に対して二人は肩を落としながら歩いた。


 歩いて一時間経った頃。頂上までかなり高そうな山に辿り着いた。山育ちのロッサは育ってきた自分の山を思い出しながら異様な雰囲気を放つ目の前の山を見て言った。


「旅に出る前は僕も大きい山の奥地で暮らしていたけどなんかこの山・・・異様な雰囲気がする。」


 その山の頂上周辺は雲で覆われており気候が短時間で変わり続けているのだろう変な色をした空模様だった。二人は天にも届きそうなその山をまじまじと見ていると白鬼に言われた。


「さぁ登るぞ!ついてまいれ!」


 出発しだす先の道を見たグローリが一言言う。


「険しそうだなぁ。」


 少し弱気なグローリだったがそんな事を言っていてもしょうがないので早速登り始めた一行。すると進み始めてすぐ気温が上がってきているのを感じたロッサ。二十度ぐらいだったのが徐々に上がっていき目的地まで半分行った所で気温は三十度を超えていた。急な気温の変化にロッサは呟く。


「はぁ。はぁ。これは慣れるのに時間がかかりそうだなぁ。」


 さらに山を登っていくと山から水が流れいる渓流の様な場所に着くと白鬼が言った。


「ここで山小屋を作るぞい。」


 ロッサとグローリは膝に手をつきながら返事した。


「は、はぁーい。」


「わ、わかったぜい!」


 白鬼の指示通りに山小屋の材料を集め半日で簡易的な山小屋を作り上げた。簡素だが割と丈夫な造りで組み立て式な山小屋はとても居心地が良かった。すると白鬼が一言言った。


「今日はここで終わりにしよう。明日まで休むといいぞ。」


 そう言われるとロッサは明日から行う修行の内容を聞いてみた。すると修行内容はこの山にの気候に耐えながら生活することだったのだ。朝に滝行を行った後その日の内に必要な食料を調達。昼過ぎには剣を振るい夜は寝る。そういったサイクルで半年間山籠もりをするというものだった。一見簡単そうだが昼は四十度前後。夜はマイナス十度の気候になる山での暮らしは相当過酷なものになるとロッサ達は覚悟していた。


 ちなみにマロンとロウガは里に待機していたのだった。ただ待機しているのも暇なのでしょうがないと思いマナの方へ行きマナを見守っていた。


 ロッサ達は山を登って小屋を建てさすがに体力が無くなってしまっていたのですぐに眠ってしまった。


 眠ったロッサの夢に聞き覚えのある声が聞こえてきた。


「ロッサよ。お主には自由に生きてほしいんじゃ。あまり無理はしないようにな。それだけじゃ。」


 夢の中で声を聴いたロッサはまた深い眠りに着くのだった。


「マナ凄いなぁ・・・。」


次回へ続く・・・






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