第12話 セラ襲来
部屋の中に風呂やトイレも有り、ベッドルームに続くであろう扉も数箇所ある。一体何人泊まれるんだ、どこの高級ホテルなんだよという感じであった。
俺は風呂に入り、ソファーに座り一服していると部屋をノックされた。
さっきの給仕の女性かと思い、どうぞと声をかける。
ドアを開けて入ってきたのはセラだった。
桜色のガウンを着て、俯いて思いつめたような雰囲気を纏わせている。
「マリアは一緒じゃないのか」
「・・・うん、一人」
「で、こんな夜更けに1人で男の部屋を訪ねてくるなんてどうしたんだ」
「・・・うん、お願いがあって」
「お願い?」
「うん」
「何をお願いしたいんだ?」
「・・・・・・・・」
「どうした?」
セラは意を決したように顔を上げ、徐にガウンの紐を解くとガウンが肩から滑り落ちる。
そこには何も身に付けていない全裸のセラの姿があった。
突然の事に呆気にとられながら思わず立ち上がった俺の口から出た言葉は
「綺麗だ」
セラの身体を見た俺は素直にそう思った。背は低く、身体は細く、胸も俺の好きな大きさと形、ウエストもくびれ、脚も細く、お尻も小さい、まさにどストライクの身体があった。
「抱いて」
そう言うとセラは俺に抱きついて来た。
そんなどストライクなセラを思わず抱きしめてしまうが、俺はそこで色々考える。
このままセラを抱くわけにはいかない。俺はセラに対して責任を取れない。
それをセラに伝えなければ。
俺の胸に顔を埋めて、震えているセラに問いかける。
「セラ、どうしたんだ?」
「抱いて・・ください」
「正直に言うと、俺もセラを抱きたいって思ってる」
「ほんとにっ、じゃあ」
「だけど、抱くわけにはいかないんだ」
「どうして」
「俺にはお前に対して責任を取ることが出来ない、お前は公爵令嬢だ、いずれどこかの貴族に嫁ぐだろう、そんなお前を傷物には出来ない」
「責任なんて取らなくてもいい、貴方に抱かれて傷物になんてならない」
「お前はそうでも、他の奴らはそう思わないだろう、それにお前は公爵令嬢だ、お前が傷物になった場合、嫁ぐとしたら公爵家よりも低い伯爵家や子爵家になる可能性が高い、同じ位の公爵家が傷物の女を娶るわけないしな、位の低い家なら公爵家の圧力で傷物でも娶る事になるだろうが、仕方なく娶った女を大事にすると思うか、他に愛人を作って軟禁されることになるのがオチだ」
「それなら一生結婚なんてしない、貴方と過ごす今夜の事を思いながら一生1人で生きていくよ」
セラのことがたまらなく愛おしくなる。だがそこまで思ってくれる女を不幸にする訳にはいかない。
「それにな、もっと重要なことがある」
「なんなの?」
「さっきはお前を抱きたいと言ったが、裸のお前を抱きしめていても、その、俺のモノが反応しないんだ、だから抱きたくても抱けないんだ・・・悪い」
「さっきからアサト君の服越しに私のお腹に熱くて硬いものが当たってるんだけど・・・」
このバカ息子がぁぁぁぁぁぁぁ・・・・
俺は慌ててセラの両肩を押して距離を取る。
「うふ、私に反応してくれてるんだよね、うれしい」
「いや、だから俺はお前を不幸にはしたくないんだ。だから抱け「違うよ」ない」
セラに言葉を遮られる。
「アサト君は私が不幸になる前提で話しているけど違うよ、私にとっての不幸って言うのは、好きな人に受け入れてもらえない事なんだよ。好きな人に大切な初めてを捧げられないことなんだよ、いつかは私も嫁ぐ事になるのだろうけど、そこに愛はないの。全ては家の為。前に言ったと思うけど、結婚式当日に初めて顔を合わせるなんて珍しくないの、皆、そういうものだって。それが普通なんだって嫁いで行って夫婦共に愛の無い一生を過ごすの。中には結婚後に愛を育む夫婦もいるみたいだけど、そんなの数える程しかいない。だから結婚して後継を生んだ後に男も女も愛人を囲ってる、それをお互いに認めて公式の場には夫婦で出席するけど、それ以外は別宅でそれぞれ愛人と暮らすってのが貴族の結婚だよ」
「ハァ、この国の倫理観はどうなってるんだ、いい国だって思ったのは間違いだったのか」
「違うよ、王様も貴族の皆もいい人ばかりだよ、ただ夫婦間の問題は別なだけだよ」
「セラもそんな考えなのか」
「私とマリアは本当に好きになった人に捧げたい、一緒になりたいって思ってた、でも王族と貴族家だからそんなの無理だよねって諦めていた。だけど貴方が、アサト君が目の前に現れた。私達はオーガに食い殺されるはずだった、王都はスタンピードで魔物に蹂躙されるはずだった、でも2つともアサト君が圧倒的な力で助けてくれた、そんな状況で好きになるなって方が難しいよ」
「・・・・・・」
「アサト君、私は初めて貴方に助けられたあの瞬間から貴方が好きです、愛してます。もう貴方を困らせるような事は言いません、だから、今夜だけでいいので私を愛してください」
「・・・・後悔しないか」
「うん」
俺はセラを抱きしめ唇を重ねる。
唇を離したあと、目に涙を浮かべていたセラが横を向いていきなり
「マリアァァァ」
と叫ぶ、部屋の中にあるベッドルームに続くと思っていたドアが開き、マリアが入ってきた。俺は索敵でマリアが居ることには気づいていた。セラを気にして見守っているのだと思っていたんだが。
「マリア、アサト君が受け入れてくれたよ」
「アサト様、本当によろしいのでしょうか」
俺はセラを見る。セラはウインクしながら、舌をペロっと出す。
てへぺろじゃねーよ、いきなり3Pとかハードル上げんなよと思いながら、
「マリア、全部聞いていたのか、そしてセラと同じ考えなのか」
「はい、聞いていました、その上でアサト様に捧げたい、初めての相手になって頂きたいと思っております」
「ハァ、まっ受け入れるって決めたんだ。お前も後悔しないんだな」
「はい、私もアサト様を愛してしまいましたから」
マリアもガウンを脱ぐと何も身に付けておらず、その姿のまま寄り添ってくる。
セラよりも長身だが、身体は細く、その細さに似合わない大きな双丘が自己主張していた。
俺は右手でセラを抱いたまま、左手でマリアを抱きしめ唇を重ねる。
唇を離すと、惚けた表情のマリアが嬉しそうに微笑む。
そして、2人を両肩に抱えると、ベッドに連れて行く。
「ちょっと、アサト君、私達荷物じゃないんだけど」
「何言ってるんだ、お荷物になろうとしてたくせに」
「うっ、それはヤメたって言ったじゃないの」
2人をベッドに下ろし、目線を合わせ2人に聞く。
「2人一緒でいいのか」
「うん」
「はい」
「わかった」
そう言って2人に覆いかぶさっていく。
そして夜は更けていった。
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