第13話 第弐試合
『勝者! アレスト・アヴニール!』
セラスタ、ポルト、カルエトの3人で話して出た勝敗をカルエトが会場に伝える。
カルエトの声を聞いて観客が大きな歓声を送った。
「アレスト様ぁ!」
「アレスト様かっこよかったです!」
「ツェルン隊長! かっこよかったぞ!」
「一瞬の勝負最高だった!」
観客の歓声に手を振りながらアレストとツェルンは会場を後にした。
「団長さん俺らも戻るで~」
「おう」
ポルトと一緒にセラスタが帰ろうとしたら観客が残念そうな声を上げた。
「セラスタ様の剣技見たいです!」
「なんだかんだ実力がよく分かってないポルト隊長の戦闘も見たいぞ!」
「団長さんどーするん?」
苦笑いしながらセラスタの方を見たポルトが大きな声で観客に言った。
「団長さんは最後に見れるからそれまで我慢しとってや~! ほんで俺は外の戦闘向いてないから戦わん! ほなな~」
そう言ってポルトは手を振りながら会場を出て、セラスタも観客に一礼して会場を後にした。
「ツェルン入っていいか?」
「すみません……涙でぐちゃぐちゃになってる顔をあなたに見せたくないので……」
「分かった。落ち着いたら戻ってこい」
ツェルンに断られたセラスタはその場を離れてアレストの控え室に向かった。
「副団長さん~! 入るで~!」
ポルトがノックもしないでアレストの控え室に入ってきた。
「アレスト……ノックくらいはしてよ……」
椅子に座って水を飲んでいたアレストが呆れたように肩をすくめる。
「別にえぇやろ俺と副団長さんの仲やろ?」
「仲やろ?」
ポルトの言葉を真似しながら扉から顔をヒョコっと出したセラスタを見てアレストが目を逸らした。
「団長? 次の試合見なくていいの?」
「始まるまでまだ時間あるから良いよ」
体よくセラスタと会話を終わらせようとしたアレスト
そんなアレストを見てポルトは何か閃いたように握りこぶしを左の手のひらにポンと乗せた。
「副団長さん顔赤いで~?」
「アレスト熱か?」
ポルトがにやにやしながらそう言うとセラスタがアレストの額と自分の額に手を当てて熱を測った。
「う~ん特に熱は無い……のか?」
「ちょ、セラスタ!?」
急に距離を詰められて顔を赤くするアレストがセラスタの後ろにいるポルトを見ると嫌らしい笑顔を浮かべていた。
「憧れな団長との距離が近いな〜」
「ポルト……」
嫌らしい笑顔を浮かべながら口パクをしながら言ったポルトを見て口の端を引きつらせて口パクで文句を言っていた。
「うん! 熱は無いな!」
そんな様子のポルトとアレストを見ていなかったアレストがそう言って部屋を後にしようとした。
「ん? 副団長さんに何も言わんでええの?」
「あ! かっこよかった! 次も頑張れ!」
ポルトに言われて思い出したかのように振り向いてアレストにサムズアップをしてさっさと控え室から出て行った。
「次の試合も頑張ってな!」
さっさと控え室から出て行ったセラスタを見て満面の笑みでアレストにサムズアップをしてポルトはセラスタの後を追った。
「心臓……動いてるよね?」
セラスタとポルトがいなくなって1人になってアレストが自分の左胸を押さえながらそう言っていた
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「なぁ団長さん?」
「ん〜?」
お互い黙って廊下を歩いていたらおもむろにポルトが声をかけた
「団長さんってアレストのことどう思ってるん?」
「どう思ってるねぇ……」
唐突に聞かれて少し考えてからポルトの方を向いて笑顔で答えた
「大切な家族であり、大好きな親友であり、昔からのライバルかな!」
「ほ〜ん。それはセレストも同じなんか?」
「うん!」
それを聞いてポルトが別のことを聞いた
「双子が結婚ってなったら嫌か?」
「2人が惚れた人なら良いと思うぞ」
ポルトが黙ってセラスタの頭を撫でた
「闘技会終わったら俺の部屋来てや」
「分かった」
それっきりセラスタとポルトの会話は無く廊下にはセラスタとポルトの歩く音だけだった
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