第18話 12月16日 火曜日 C4

 ゴブリンが新たに出るようになってから少し。

 この階層からは単独のモンスターが減り。集団が増えた。特にゴブリンが複数来るとなかなか大変だったな。少し前に聞いた悲鳴の理由は何となくわかった。いきなり数体のゴブリンが来たらもし1人だと――である。ちなみに罠はそこまでなかった。あったとしてもあからさま――という感じだったので。罠は罠ゾーンみたいなのがあっただけらしい。


「とりゃあぁ!」


 現在俺の前では文がせっせせっせとゴブリンやたまに現れるスライムを切っていく。こいつ馬鹿だからかスタミナ関係ないのか。休みことなく切っている。ちなみに剣には切れ味みたいなのがあるらしくずっとは切れないらしい。ある程度切ると研いだりが必要らしい。分が面倒とほざっていた。ちなみに魔法は無限なのか。俺のマジックソードは使用時間が限られるだけで、何度も唱えればいいので、唱えるのが戦っていると――だが。研がないといけなくなる文よりかは――だった。研ぐには一度モンスターの居ないところへ――だからな。


 ズシャッ。とゴブリンを切ると魂石がまた出た。


「あー、くそ。多いな。モンスター」

「大丈夫ですか?斗真先輩。この辺はまだ他のプレイヤーが来てないんですかね?」


 俺がつぶやくと湖奈がすぐに隣に来て返事をしてくれた。湖奈は先ほどから足止め担当なので俺達の後ろとなり。先頭が終わると寄ってくるといった状態だ。


「湖奈の言う通りそれもあるな。マジで広いし。っか、少し前からあまり他のプレイヤーとも会わないしな」

「噂で聞いたが。即最深部目指している奴らも居るみたいだぞ?」


 剣を研ぎながら文が言う。


「それ自殺行為だろ。この様子だと。まだ浅いとか思ってると――だぞ」

「ああ、地味にゴブリンの攻撃痛いし」


 そうそうゴブリンは武器を持っている奴もいて、投げたりしてくる奴も居るので、さすがに全ては避けれず俺と文擦り傷見たいな細かい傷が出来ている。


「わかる。これマジでゲームかよ。生身の身体みたいに痛いじゃないか。足切られてるし」


 俺は少し自身の滲む血を見る。すると湖奈が俺の前にしゃがんだ。


「——ヒール」


 すると湖奈の手から暖かい光が出て――スッと傷が治る。聖職者様すげー。である。


「ホントだわ。折れてる剣のくせにちゃんと血出るし」

「飛んでくる石も痛いしな」

「はい。斗真先輩回復OKです」

「悪い。ありがとう湖奈」


 文と話していると、俺湖奈により回復。すると。


「おい。湖奈。さっきからなんで斗真だけ回復してるんだよ」


 先ほどから回復を使ってもらえない文が剣を担ぎ直して寄って来た。


「えっ?何しないといけないんですか?」

「オレ――おかしなこと言ってないと思うぞ?この中でヒールがあるのは湖奈だけだからな?」

「だから貴重なヒールは私を守るために戦ってくれている斗真先輩に使ってます」


 確かに。ずっと俺湖奈に助けられている。文は自分で回復薬を飲んだりだな。


「いやいや、俺もめっちゃ切ってるし。助けてるだろ?」

「船津先輩はパーティじゃないですから」

「じゃあパーティー登録」

「しません」

「なんなんだよ!斗真!何とかしろ。教育!」


 なんでこの2人ずっとマジで揉めているのか――と俺が思いつつ見ていると。影が近寄って来た。


「あっ。ゴブリン来たぞ。文」

「俺はずっと自分で回復かよ」


 そう言いなあら文はアイテムから回復薬を出して一気飲み。俺は湖奈が居るためまだ飲んだことはないが。

 文曰く、やはり栄養ドリンクみたいとのことだった。そして飲むことでちゃんと回復しているみたいで、疲れが飛ぶと言っていた。あと、回復薬飲むと傷もゆっくり治っていっている。ヒールよりかは時間がかかるみたいだがな。


「消えろ!!」


 切れ味が戻ったからか今度は一撃でゴブリンを魂石に変える文。そして俺はその後ろから来ていたゴブリンに攻撃。


「——サンダーボール」

「いただきー」


 俺の攻撃では一撃が無理だったので最後は文が仕留めていた。


「斗真先輩。そのまま船津先輩も打ちましょうよ。あれなら事故です」

「おいこらー湖奈。聞こえてるからな?」

「きゃです。って、斗真先輩の経験値奪いましたー」

「とどめ刺したもん勝ちだよ」

「あのな。2人ともいつまで――」


 いろいろ2人に言いたい俺だったが――まあ楽しく攻略中なのでいいか。と言うのをあきらめた俺だった。揉めつつも――って、今までもゲームしながら揉めるってよくよくあったからな。よく考えてみたら、これが俺達だったと思う光景だった。

 ちなみに今日の後半からは湖奈は回復専門といった感じになった。さすがに湖奈は新しく何か覚えるか。武器を買う必要があるらしい。でも湖奈的には――。


「斗真先輩。か弱い私を守ってください」


 などと言っていて――強化する気はあるのだろうか――だったが。


 その後の俺達はダンジョン攻略を進めたのち、少し上の階層に戻り強化。武器購入のためのアイテム探しをすることにした。早く先に――という気持ちもあったが。このままではきついといった感じがあったためだ。主に湖奈のためだな。湖奈がもし1人に何らかの原因でなった場合戦えないからな。


 それから文が回復薬を使い切るまで、俺達はダンジョン内でアイテム探しをして、地上へとその日は戻ったのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る