第17話 12月16日 火曜日 C3
ダンジョンに入る前からいろいろあった今日だが。今は無事にダンジョン内へと進み、俺達は第4層へと入ったところだ。特に今までの階層と違いはなく。洞窟内といった感じだ。
「ここも洞窟ですね。なんか同じような場所で迷子になりそうです。あと階層がわからなくなりそうです」
「まあダンジョン内って、どこも洞窟みたいな感じじゃないのか?または古い遺跡とか」
湖奈のつぶやきに俺が周りを見つつ返事をする。一応周りを警戒しつつである。何っがあるかわからないのでね。突然床が抜けたり。スイッチがあり弓矢が飛んでくるということも経験したし。
そうそう、深い階層に行くことにより他のプレイヤーと会う確率は減って来た。多分各階層が広いこともあると思うが。進める人はどんどん進めてもっと先に行っているみたいだし。ゆっくりという人はまだ1、2層あたりに居るみたいだからだ。それに町でワイワイいった感じのプレイヤーも居るみたいだしな。俺達は2日に1回。文が提案してくる日で今のところ潜っているので、中途半端というか。攻略中だが毎日長時間居るような人には追い付けないし。かといって遅いわけではないと思うので、ちょうど人が少ないあたりを動いているらしい。
「でもここ広いですし。このゲームなら何でもありな気がしますから」
「ありそうだな。まあ、また罠があるとだし。ゆっくり――」
「おっ、ゴブリン発見!」
湖奈と話しながら進んでいると、前を歩いていた文の声が聞こえてきて、俺と湖奈も前を見ると――折れた剣を持った小さな濃い緑色の身体をしたモンスター。ゴブリンがいた。ゴブリンが居る事は既に噂で聞いていたので俺達は特に驚くことはなかった。ちょっとレベルアップらしい。
「深くなったからモンスターも変わったか」
「ですね。武器も一応持ってますね」
「まずはオレがもらい!」
俺と湖奈が話していると文が突っ込む。
ズシャ。
スライムの時とは違う音が響く。あまりよろしくないというか。リアルというか。身を切る音。骨が――という感じがした。でもとにかく文の剣がゴブリンにダメージを――。
「あれ?」
だが1撃ではいかなかった。確かに文はゴブリンの腕を切り落としていたが――。
「まだ生きてるぞ。文」
「マジか。体力あるな。って、確実に息の根止めろってか。このっ」
ズシャ。
一度切られて弱ったゴブリンが反撃する前に、文は再度剣でゴブリンを切ると――今度は真っ二つになり。それでゴブリンは倒れ鉱石を落としていた。
「致命傷?って言うんですかね。致命傷にならないと、スライムみたいに1撃じゃいかないみたいですね。って――血がリアルでグロいです」
「だな。おまけに武器持ってるし」
ちなみにゴブリンの死体は残らず消えるのだが――戦闘中の返り血は文の剣に残っていた。リアルというか。マジか――だよ。本当にダンジョンに潜り戦っているみたいだと改めて俺は思いつつ。同じく文の戦いを見ていた湖奈と話していると――。
「ぎゃあああああああ」
洞窟内の奥から他のプレイヤーと思われる悲鳴聞こえてきた。
「ひっ――な、なんですか?モンスターですか?」
「どこかのプレイヤーみたいだな」
「さすがに――レベルが上がってきているんですかね?」
俺の後ろに隠れつつ湖奈が言う。
「まあだろうな。今の文の戦いを見ていると。強化してなかったらきついかもな」
「おい、2人ともイチャイチャはいいから早く進めないのか?それに戦わないとレベル上がらないぞ?あとモンスター先に狩られたら探さないとだから面倒だろうが」
「——今は船津先輩が先行して勝手に倒したんでしょうが」
「相手を待ってたら攻撃されるだろうが。馬鹿だな」
「馬鹿馬鹿うるさいですね」
「今日も言い合う2人だな。って、進むか」
それから俺と湖奈もゴブリン。あと。スライムもこの階層には居るらしく。どちらとも戦った。
「あー、当たらない。避けるとか聞いてません」
ゴブリンに攻撃しつつ文句を言う湖奈。
「風は難しいな」
「それに直撃じゃないと、ひるませるくらいです」
スライム相手なら、湖奈のウインドでもダメージを与えて倒せていたが。ゴブリンになると、さすがに直撃しないと、ひるませるのが良いところといった感じになって来た。もっと威力があればちょっとでも当たれば、吹き飛ばすみたいな攻撃になるだろうが今の湖奈はまだ初期の攻撃レベル。かするだけでは少し相手の行動を止めるのが限界らしい。
現状は湖奈がひるませたら、俺と文が接近で退治していくといった感じだった。
ちなみに俺の攻撃。マジックソードは文と同じく2回くらい攻撃が当たれば、確実に倒せる。1回でも致命傷。真っ二つにすることが出来れば倒せるが。相手も避けてくるのでそう簡単に1回では倒せなかった。
あと、俺のもう1つの攻撃。サンダーボールも同じくといった感じで、ゴブリン相手だと、2回当てると――だった。こちらもスライムなら1回だったが1回では体力を削れないらしい。
ちょっと今は先に進むのが大変といった感じになってきていた。
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