第60話 勇者と魔王がふたりきり その6
「この間の……私の匂い?」
マオの何気なしの一言を、ユウは聞き逃さなかった。あっ、やばい! とマオは焦ったが遅かった。
ユウが顔を真っ赤にして恥ずかしそうにしながら、マオのタオルをはぎ取る。そして、
「ねえマオ。私の匂いって……何? いつ嗅いだの?」と自分でも匂いを嗅いでみる。
ユウはユウで恥ずかしさが止まらなかった。匂い……マオにとって臭かったのかしら? そんなはずは! いつも石鹸で洗濯してお日様に干してるし……。は! この前背中におぶったときの服の匂い? 汗かいてたからその匂いのこと言ってるのかしら? うわーこりゃだめだ!
奪ったタオルを握りしめてうぎー! とかぎゃー! とか悶えているユウを見て、マオは涙が止まり、笑顔になった。「ふっ……ふふっ!」思わず笑い声が出てしまう。
「なっ、何よ! ……そ、そんなに臭かった、わたし?」
恥ずかしそうにするユウを見ながら、マオはブンブンと顔を横に振った。
「ううん、違うの。もう、この際だから全部正直に言うね」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます