「魔王様！　またしても勇者ユウがやってきております！」と鎧の騎士。

　勇者と魔王の運命的な出会いから数日後。再び魔王の間に勇者ユウがやってきた。もちろん彼女の後ろには戦士アッシュと僧侶ハンナも一緒だ。

　そして前回と同じ口上を述べる。

「魔王よ！　古き言い伝えにより、お前を退治しにきた！」

　今日は絶対に魔王の名前を聞き出してやるんだから！　とユウはやる気満々だった。

「ふっふっふ、よくぞここまでたどり着いた、ユウ！　魔神の加護を受けし我に挑もうとは愚かなり！」

　前回と同じセリフ。しかし、さりげなく勇者の名前を呼び捨てにしてみた魔王マオ。内心、（きゃぁっ、呼び捨てで呼んじゃった！　はぁぁ、やっぱりユウちゃん可愛いぃ……もっと近くで、もっと近くで見たいぃ！）と興奮していたのだった。

　無意識のうちにマオは玉座から立ち上がり、ユウの元へ歩き出していた。

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