2章

27話(番外編6話)普通ってなんだろ……


 邪鬼とイルとの戦いの結果、神威が二日意識を失っていた事実を目覚めてから聞かされた日の夜。

 神宮寺神威じんぐうじしんい神楽寺蘭子じんらくじらんこと初めて会った日の放課後を思い出していた。


~~~~~~

「もしよければ校内を案内していただけませんか?」

「仕方ないな……ついてこい」



 二人は活発に部活動に励む声が響く中、廊下を歩いている。


「ちょっと気になってたことを聞いてもいいか?」

「えぇ。構わないわよ」

「神楽寺さん……は……」


「蘭子でいいわ。なんだか言いづらそうだし……ふふっ」

 そんなに言いづらそうに見えたのかな?蘭子は少し笑みを浮かべて言った。


「あぁ助かるよ。その……蘭子は元からそう言う喋り方なのか?」

「元からと言えばそうかしらね? 私がいた学園はこれが普通だったのだけれど」


「結構特殊な環境だったんだな」

「あらそうかしら? 人によって違うものでしょ?」

「そう……だな。そうだよな……普通……か」


 人と違う感性を持ち合わせている事は高校生にもなれば自然と分かってくる。だけど今までそれが自分にとっての"普通"だった。このままでいいのか悩んでいた時もある。変わらないといけないのかって自問自答する毎日だ。


 でも自分にとってのを肯定している蘭子は、今の俺にはとても眩しく見えた。


「何を一人で納得してるのかしら」

「いや、こっちの話だ」


~~~~~~


 「蘭子を何となく意識するようになったのは目を引く外見のせいでも、特別な能力ちからを持ってるからでもなくて……蘭子の芯の強さ、自分を持ってる所に惹かれたのかな~」

 印象に残っている言葉を反芻はんすうしつつ呟く。



 (……なんてな。あんな美人なんだから俺とは一生かかっても釣り合わないだろ~な~~~)

 

「はぁ……自分で言って自分で落ちこんでりゃ世話ないぜ……ハハッ」

 ついつい乾いた笑いが口から洩れる。




 こんな風にセンチメンタルに浸るのも青春アオハルってやつなのかもしれませんね(笑)


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