雷雨

霧雨のカーテン越しに

見える景色は

薄白に覆われて

不思議な静けさに満ちていた


薄闇に侵食されていく

四角いこの部屋で

珈琲の温もりを両手で抱えて

たちのぼる湯気の行方を見ている


静けさに不安が募った時に

稲光がして雷鳴が遠くで聞こえた


近づいてくる


雨が激しくなってきた


しっかりしろ、と

また雷が大きく鳴って


わたしの背筋を伸ばさせた


ああ

そうだ


生きている


今、こうして確かに


生きている


稲光がわたしの輪郭を

はっきりとさせてくれる


あと少しで夜が来ても

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