5月の雨

まるではじめから

それ一色しかなかったように

空が鉛色で

塗り固められている

降り止まぬ雨は

嘆きの声のようで

胸を沈ませていく


草木は雨に打たれて

葉をまた鮮やかにする

生命いのちたくましさ

その緑に目を奪われて

わたしは

うつむいていた顔を

少しだけ上げた


何処かで

鳥がさえずっている


ああ

こんな雨のなかでも

鳥は鳴くのだな


まだ降り続くと

天気予報は告げていたけれど

それでも雨はいつか止むのだ


足元を濡らしながら

わたしはまた歩き出す

一歩ずつ踏みしめるように



緑の生命いのちの息吹と

歌うような鳥の声に励まされながら

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