女優と指輪
そのシーンは
まるで大輪の花が
不意に放り出されて
散らばったかのようだった
彼女は大女優と呼ばれる人で
若い頃から綺麗だったけれど
年齢を重ねた今の
少し骨ばった手にこそ
大ぶりの宝石のついた指輪は
とても似合っていた
その手で選択して
その手から手放して
その手で掴んできた
それを思わせる指輪は
だから彼女の一部のように
輝いていたのかもしれない
そんな感慨が
起こるほどに
その時
死体を演じていた
彼女は
目を見張るほどに美しかった
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