春雷

本のページをめくる手を止めて

物思いしていると

いつのまにか

霧雨にかわっていたはずの

雨脚が激しくなってきていた

日暮れにはまだ早いのに

部屋のなかは

すっかり薄闇に沈んでいる


不意に稲光がして

しばらくしてから

遠くで雷が鳴った


いつか

近づく雷を待っている


この憂鬱を粉々に打ち砕いて欲しくて


薄闇の部屋

電気もつけずに


わたしは次の雷を待っている

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