街宣車

窓を閉めていても

雨音の間を掻い潜るように

ピンポンダッシュみたいに

拡声器で連呼される名前


やっと眠りについた赤子も

痛みや苦しみに呻いている

病人もいるだろうに


こんなネット社会になっても尚

このやり方は必要なのか

苛立ちと虚しさが募る


一方的に叫び続けられる声は

遠くなったと思えば

また近づいてくる

これはどんな苦行だ?


こちらは声をあげても

黙殺されつづけるのに

こんな声ばかりが押し付けられて


何周目になるのか

街宣車がまた

道路に散った桜の花びらを

潰しながら近づいてくる


ウグイス嬢の声が

鶯の声をかき消しながら

一つの名前だけを

明るく叫び続けている

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